好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

アリス・テイラー『窓辺のキャンドル アイルランドのクリスマス節』(高橋歩 訳)を読みました

窓辺のキャンドル アイルランドのクリスマス節作者:アリス・テイラー発売日: 2018/12/07メディア: 単行本アイルランドの人気作家であるアリス・テイラー、初めて読みました。2019年の神保町まつりで手に入れたのですが、去年は読みそびれていて、今年ようや…

酉島伝法『るん(笑)』を読みました

るん(笑)作者:酉島 伝法発売日: 2020/11/26メディア: 単行本酉島伝法の新刊とあらば買わないわけがない。しかし言霊が強くてしんどかったので、休み休み読みました。 もともと酉島伝法の本はすらすら読めるものではないのだけれど、今回は特に、じりじりとに…

グローバルエリート『WORK マンモス大合成』を読みました

globalelite.black2020年は地球レベルでいろいろありましたが、私にとっては「初めて文フリに行った年」でもありました。文フリ=文学フリマ。ずっと気になってはいたのですが行ったことは無く、しかし今回売り子のお手伝いをする機会を得て遂にデビューしま…

『銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河』を読みました

銀河英雄伝説列伝1 (晴れあがる銀河) (創元SF文庫)作者:石持 浅海,太田 忠司,小川 一水,小前 亮,高島 雄哉,藤井 太洋発売日: 2020/10/30メディア: 文庫銀河英雄伝説(以下、銀英伝)の新刊が出ると知ったのはTwitter上でした。それは公式トリビュートであり…

松本清張『昭和史発掘 10』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』10巻を読み終わりました。ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うので、リンクは貼っていません。さて10巻なのですが、とうとう二・二六事件決行の朝にたどり着きました。 内容は以下の通り…

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』を読みました

シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫)発売日: 2020/09/30メディア: 文庫シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテムの編集によるイスラエルSFアンソロジーの翻訳です。訳者は中村融、安野玲、市田泉、植草昌実、山岸真、山田順子。 …

ウィル・ハント『地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史』(棚橋志行 訳)を読みました

地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-12)作者:ウィル・ハント発売日: 2020/08/26メディア: 単行本いつもノンフィクションが面白い亜紀書房から刊行された本で、本屋に並んだ頃から絶対好きなやつでしょこ…

田中美穂 編『胞子文学名作選』を読みました

胞子文学名作選作者:田中 美穂発売日: 2013/09/20メディア: 単行本やばい本を手に入れてしまった。実は先日、倉敷に行ってきました。一人旅で、唐突に思い立って。 旅行には当然本を持っていくわけですが、この旅行では手持ちの本が思った以上に進んでしまっ…

石川宗生『ホテル・アルカディア』を読みました

ホテル・アルカディア作者:石川 宗生発売日: 2020/03/26メディア: 単行本『ベストSF 2020』に収められていた石川宗生の『恥辱』がめっちゃ好みだったので買いました。『恥辱』も入った短編集、なのですが、一冊で一つの世界を構成しています。すべてはプルデ…

松本清張『昭和史発掘 9』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』9巻を読み終わりました。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無しとなっています。7巻からずっと二・二六事件に向かって突き進んでいってるのですが、ついに9巻で昭和11(19…

W・G・ゼーバルト『目眩まし』(鈴木仁子 訳)を読みました

目眩まし[新装版] (ゼーバルト・コレクション)作者:W・G・ゼーバルト発売日: 2020/06/16メディア: 単行本読んでしまった。ゼーバルトの新装版4冊のうちの、3冊目です。残り1冊しか残っていない。ゼーバルトはもう他界してしまったし、あと1冊を読み終えたら…

立原透耶 編『時のきざはし 現代中華SF傑作選』を読みました

時のきざはし 現代中華SF傑作選作者:江波,何夕,糖匪,昼温,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,黄海,梁清散,凌晨,双翅目,韓松,吴霜,潘海天,飛氘,靚霊,滕野発売日: 2020/06/26メディア: 大型本 7月に出ていた中華SF傑作選をようやく読みました。 いやこれ何が凄いって、全17…

松本清張『昭和史発掘 8』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』も8巻となりました。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無しとなっています。7巻に続き、8巻も2本立てでした。二・二六事件 二 「相沢公判」 「北、西田と青年将校運動」…

濱野ちひろ『聖なるズー』を読みました

聖なるズー作者:濱野 ちひろ発売日: 2019/11/26メディア: 単行本面白いよ、と言われて貸してもらった本なのですが、思っていた以上に面白くて一気に読んでしまった。好みが把握されているのだろうか……この本は、DV被害に遭った過去をもつ著者が大学院の研究…

ローラン・ビネ『言語の七番目の機能』(高橋啓 訳)を読みました

言語の七番目の機能 (海外文学セレクション)作者:ローラン・ビネ発売日: 2020/09/24メディア: 単行本この本の刊行予定が噂された半年ほど前からずっと待っていました。ローラン・ビネの新刊です。嬉しい! ありがとうございます! 前作『HHhH』を読んでから…

梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』を読みました

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)作者:懐, 梶谷,康太, 高口発売日: 2019/08/10メディア: 新書2019年8月に刊行された新書です。某所のビブリオバトルで紹介されて知り、ずっと読みたかったのですがいろいろあってこんな時期になってしまった。コロナ禍前の…

大森望・編『ベストSF 2020』を読みました

べストSF2020 (竹書房文庫)発売日: 2020/07/30メディア: 文庫創元SF文庫から毎年刊行されていた『年刊日本SF傑作選』が2019年、全12巻で幕を閉じました。 そして本書が、その後継となるシリーズの第一巻です。ベストSFとして収められているのは日本SFの短編…

グカ・ハン『砂漠が街に入りこんだ日』(原正人 訳)を読みました

砂漠が街に入りこんだ日作者:グカ・ハン発売日: 2020/08/01メディア: 単行本『82年生まれ、キム・ジヨン』のヒット後、日本でも現代韓国作家の本が次々と刊行されるようになりました。が、なんとなく読むタイミングを逸し続けていて、読まずにここまで来てし…

柴崎友香『百年と一日』を読みました

百年と一日 (単行本)作者:柴崎 友香発売日: 2020/07/14メディア: 単行本 10代の頃、「いまここ」で考えていることがすべて流れ去って消えていってしまうのがとても恐ろしかったのを覚えている。根が貧乏性なので、少しでも何か残しておきたくて色々書き残し…

藤野可織『来世の記憶』を読みました

来世の記憶作者:藤野 可織発売日: 2020/07/10メディア: 単行本藤野可織は私の推し作家です。彼女の作品は読むたびにくらくらする。 書店の日本人作家の単行本コーナーは広すぎていつもほとんど新刊チェックできていなくて、この本が出ていたこともしばらく経…

ディディエ・エリボン『ランスへの帰郷』を読みました

ランスへの帰郷作者:ディディエ・エリボン発売日: 2020/05/03メディア: 単行本初めにこの本を知ったのは日経新聞朝刊の書評欄でした。誰が書いていた書評だったかは覚えてないんですが、気になってスマホの読みたい本リストにメモしておいた。 そしてその後…

松本清張『昭和史発掘 7』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』、いよいよ7巻です。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無しとなっています。 前の巻からずっと二・二六事件の単語がちらついているのですが、この巻でもまだその日にはた…

現代思想 2020年8月号『コロナと暮らし――対策の現場から』を読みました

現代思想 2020年8月号 特集=コロナと暮らし――対策の現場から――作者:J・バトラー,A・ネグリ,藤井誠一郎,川口有美子,美馬達哉発売日: 2020/07/28メディア: ムック現代思想 2020年6月号が面白かったので、それ以降毎号買って読んでいます。8月号の特集は「コロ…

小松左京『復活の日』を読みました

復活の日 (角川文庫)作者:小松 左京発売日: 2018/08/24メディア: 文庫コロナ禍をきっかけに再び世間で注目を浴びていた小松左京の『復活の日』を、とうとう読み終えました。5月に映画版を観て「面白かったー!」と叫んでいたら、小説も面白いから!と貸して…

W・G・ゼーバルト『移民たち 四つの長い物語』を読みました

移民たち:四つの長い物語(新装版)作者:W・G・ゼーバルト発売日: 2020/05/15メディア: 単行本初めてゼーバルトを読んだのは今年の春。『アウステルリッツ』を夢中で読んで、新装版が続いて出版されることを知って楽しみにしていたのに、コロナ禍でチェックが…

ユーディット・シャランスキー『失われたいくつかの物の目録』を読みました

失われたいくつかの物の目録作者:ユーディット・シャランスキー発売日: 2020/03/26メディア: 単行本こんな本が出たよ、と教えてもらって調べたら「あ、はい、私好みです」ってなったので迷わず買いました。訳は細井直子さん。とても好きなタイプの本。 帯に…

ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』を読みました

恐るべき子供たち (角川文庫)作者:ジャン・コクトー発売日: 2020/07/16メディア: 文庫ちょっとした機会があってカドフェスの本を買うことになり、新刊として並んでいたこの本を選びました。角川ってメディアミックスが売りだし、普段私が読む系統とちょっと…

酉島伝法『オクトローグ 酉島伝法作品集成』を読みました

オクトローグ 酉島伝法作品集成作者:酉島 伝法発売日: 2020/07/02メディア: 単行本発売を知ってからずっと楽しみにしていた酉島伝法の短編集を、ついに読み終えてしまいました。さみしい。 全8編の短編集ですが、最初の作品で「あ、これ舐めるように読むやつ…

松本清張『昭和史発掘 6』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』もついに6巻まで来ました。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無し。このくらいまで進んでくると、松本清張がこれからどういうことを書こうとしているのかがわかってきま…

ロレンス『完訳 チャタレイ夫人の恋人』を読みました

完訳チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)作者:D.H. ロレンス発売日: 1996/11/22メディア: 文庫某所の読書会の課題本になっていたので読んだのですが、予定が被って読書会に参加できなかったので、行き場のない感想をここに書いておく。ロレンスは初めて読んだの…