好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

2021-01-01から1年間の記事一覧

ダリアン・リーダー『HANDS―手の精神史』(松本卓也・牧瀬英幹 訳)を読みました

ハンズ 手の精神史作者:ダリアン リーダー左右社Amazon書店で見つけて買いました。「私たちは手のしもべである。」という、帯のアオリにやられたのです。 想像が膨らむ目次は以下の通り。1. 分裂する手 ―自律と自由のパラドックス 2. 自律する手 ―手と口の…

映画『最後にして最初の人類』を観てきました

synca.jpヨハン・ヨハンソンの遺作だというので、何が何でもスクリーンで観ねばならん! と思い、直行直帰で行ってきました。壮大なサウンドノベルという感じで、非常に好みでした。万人受けではなさそうですが、私にはどストライクで、がっつりと心を鷲掴み…

「2022年の『ユリシーズ』」の読書会(第十二回:第十二挿話)に参加しました

www.stephens-workshop.com2021年6月27日にZoom上で開催された「2022年の『ユリシーズ』」の読書会、第十二回目に参加しました。この読書会は2019年から隔月で開催されており、『ユリシーズ』刊行100周年である2022年に『ユリシーズ』を読了しようという壮大…

工作舎 編『最後に殘るのは本』を読みました

最後に残るのは本工作舎Amazon工作舎50周年記念出版、本にまつわるエッセイ集です。帯には「67人の書物随想録」「ようこそ、書物の迷宮へ」と書かれていて、その帯の紙質といいフォントといい、本体の装幀の美しさといい、もうニヤニヤが止まらず素通りなん…

東京国立博物館『国宝 鳥獣戯画のすべて』に行ってきました

chojugiga2020.exhibit.jpすでに会期が終ってしまった展覧会の感想となってしまい恐縮ですが、先月半ばに久々に博物館に行ってきたので、未来の自分のために記事にのこしておくことにします。友人が誘ってくれて、半年以上ぶりに展覧会に行きました。やっぱ…

ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』(水野忠夫 訳)を読みました

巨匠とマルガリータ(上) (岩波文庫)作者:ブルガーコフ岩波書店Amazon巨匠とマルガリータ(下) (岩波文庫)作者:ブルガーコフ岩波書店Amazon実は結構前に読み終わっていたんですが、ずっと記事を書きそびれていました。めちゃくちゃ面白くて夢中で読んだも…

映画『犬は歌わない』を観てきました

moolin-production.co.jp以前別の映画を観た時に予告編が流れて、気になったので観てきました。モスクワの野良犬が生活する映像を中心としたドキュメンタリ―映画です。英語タイトルは "SPACE DOGS" なのを、「犬は歌わない」と訳したセンスに痺れる。 なおこ…

西崎憲・編『移動図書館の子供たち』を読みました

kaze no tanbun 移動図書館の子供たち作者:我妻 俊樹,円城 塔,大前 粟生,勝山 海百合,木下 古栗,古谷田 奈月,斎藤 真理子,西崎 憲,乘金 顕斗,伴名 練,藤野 可織,星野 智幸,松永 美穂,水原 涼,宮内 悠介,柳原 孝敦柏書房Amazon<kaze no tanbun>シリーズ第二…

映画『デカローグ』5,6を観てきました

www.ivc-tokyo.co.jp最初は『不思議惑星キン・ザ・ザ』を観に行くつもりだったのだ。しかし当てにしていた映画館ですでに公開終了していたので、じゃあ別のを……となった。お気に入りの映画館であるシアター・イメージフォーラムのHPで『デカローグ』をやって…

現代思想 2020年10月臨時増刊号『総特集 ブラック・ライヴズ・マター』を読みました

現代思想 2020年10月臨時増刊号 総特集◎ブラック・ライヴズ・マター作者:大和田俊之,磯部涼,檀廬影,有光道生,和泉真澄青土社Amazon2020年10月に臨時増刊号として店頭に並んだ現代思想の「ブラック・ライヴズ・マター」特集。装幀が格好いいなと思ったら、川…

映画『ファーザー』を観てきました

thefather.jp映画館で予告編を観てこれは行かねばと思っていた『ファーザー』を、ようやく観てきました。あんまり期待しすぎるのもどうかなとも思っていたけど、要らぬ心配でした。実に良かった。ロンドンで独り暮らしをする老人アンソニーは、娘のアンが派…

文楽「生写朝顔話」を観てきました

www.ntj.jac.go.jp令和3年5月の文楽東京公演、第二部を観てきました。演目は「生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)」です。 文楽の東京公演はなるべく行くようにしているのですが、ブログ記事を振り返ったら2020年秋から行っていなかった。冬に行きそび…

「2022年の『ユリシーズ』」の読書会(第十一回:第十一挿話)に参加しました

www.stephens-workshop.com2021年4月25日にZoom上で開催された「2022年の『ユリシーズ』」の読書会、第十一回目に参加しました。2019年に始まったこの読書会は『ユリシーズ』刊行100周年である2022年まで、3年かけて『ユリシーズ』を読んでいこうという壮大…

ローレン・アイズリー『星投げびと コスタベルの浜辺から』(千葉茂樹 訳)を読みました

星投げびと―コスタベルの浜辺から作者:ローレン アイズリー発売日: 2001/11/01メディア: 単行本古本屋で工作舎の自然科学系エッセイを見かけたときは、できるだけ買うようにしている。外れがないからだ。 この本も、古本屋で見つけて買った一冊です。著者の…

ブッツァーティ『タタール人の砂漠』(脇功 訳)を読みました

タタール人の砂漠 (岩波文庫)作者:ブッツァーティ発売日: 2013/04/17メディア: 文庫ずっと本棚に飾っていたブッツァーティの『タタール人の砂漠』を遂に読みました。いろんなところで良い評判を聞いていた小説でした。これが噂の!内容をあまり知らずに読み…

J・シュペルヴィエル『ノアの方舟』(堀口大學 訳)を読みました

シュペルヴィエル『ノアの方舟』堀口大學訳、青銅社、1977年古本屋でシュペルヴィエルの本を見つけたので、買って読みました。普段はAmazonのリンクを記事冒頭に載せるのですが、ISBNがついていない本だったので、代わりにセルフ書影を掲げておきます。 青銅…

「第18回英詩研究会」に参加しました

poetry2012.exblog.jp2021年3月28日にオンラインにて開催された「第18回英詩研究会」に参加しました。なんと今回は、発表者として!英詩研究会は半年に一度くらいのペースで開催されていて、コロナ禍以降はオンラインでの開催となっています。今回は2020年の…

岸政彦・柴崎友香『大阪』を読みました

大阪作者:岸 政彦,柴崎 友香発売日: 2021/01/27メディア: 単行本 私が生まれたのは大阪市内のとある病院ですが、物心つくまえに引っ越してしまったので、大阪の記憶はない。私にとって大阪というのは、母親が生まれ育った街であり、両親が出会った街であり、…

チャン・リュジン『仕事の喜びと哀しみ』(牧野美加 訳)を読みました

仕事の喜びと哀しみ (K-BOOK PASS 1)作者:リュジン, チャン発売日: 2020/12/23メディア: 単行本数年前から韓国の現代小説が書店で目立つようになっていたけれど、なんとなく機会を逃し続けてまだ一冊も読んでいなかった。現代韓国小説市場はフェミニズムとす…

四方田犬彦『愚行の賦』を読みました

愚行の賦作者:四方田 犬彦発売日: 2020/08/27メディア: 単行本書店で見かけて我慢できずに買いました。四方田犬彦の新刊! この分厚さがいい! 四方田犬彦は文章が上手いというのは勿論その通りなんだけど、さらに、興味の引き出しをたくさん持っているらし…

山尾悠子『山の人魚と虚ろの王』を読みました

山の人魚と虚ろの王作者:山尾悠子発売日: 2021/02/27メディア: 単行本『飛ぶ孔雀』で初めて山尾悠子を知って恋に落ちる勢いで好きになり、今回の新刊も喜び勇んで買いました。函入りで美しい装丁はさすが国書刊行会、気合入ってる! 寝る前に少しずつ読んで…

パティ・スミス『Mトレイン』(管啓次郎 訳)を読みました

Мトレイン作者:パティ・スミス発売日: 2020/11/21メディア: 単行本パティ・スミスの名前は一応知っていましたが、この本は訳者の管啓次郎に惹かれて買いましたが、結果的にパティ・スミスのことも好きになった。 河出書房新社から出ているのですが、装丁がい…

松本清張『昭和史発掘 13』を読みました

ノンフィクションシリーズ『昭和史発掘』、全13巻の最終巻を読み終わりました! 父親のお下がりの古い版で、主にお風呂の中でちょっとずつ読み進めていました。ブログ記事を確認したら、1巻の感想は2020年3月15日にアップしているので、ちょうど一年お付き合…

映画『DAU. ナターシャ』を観てきました

www.transformer.co.jp2021年に初めて映画館で観た映画となりました。監督はロシアのイリヤ・フルジャノフスキー、舞台は1952年のソ連。 ソ連時代の某研究施設での話なのですが、出演する人々が「ソ連時代を完全に再現したセットで2年間生活」するプロジェク…

ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』(雨沢泰 訳)を読みました

白の闇 新装版作者:ジョゼ・サラマーゴ発売日: 2008/05/30メディア: 単行本(ソフトカバー)「はじめての海外文学スペシャル2020」で紹介されていて気になってました。ようやく読みましたが、読み始めてから読み終わるまで結構時間がかかって、しんどかった…

「2022年の『ユリシーズ』」の読書会(第十回:第十挿話)に参加しました

www.stephens-workshop.com2021年2月21日にZoomで開催された「2022年の『ユリシーズ』」の読書会、第十回に参加しました。2019年に始まったこの読書会は『ユリシーズ』刊行100周年である2022年まで、3年かけて『ユリシーズ』を読んでいこうという壮大な企画…

松本清張『昭和史発掘 12』を読みました

ノンフィクションシリーズ『昭和史発掘』、12巻を読み終わりました。父親のお下がりの古い版でISBNがついていないので、リンクは無しです。12巻は、11巻で蹶起部隊が撤退した後の話になります。彼らがどのような処分を受けるのか、というところ。内容は以下…

橋本輝幸 編『2010年代海外SF傑作選』を読みました

2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン発売日: 2020/12/17メディア:…

ヨシフ・ブロツキー『ヴェネツィア 水の迷宮の夢』(金関寿夫 訳)を読みました

ヴェネツィア 水の迷宮の夢作者:ヨシフ・ブロツキー発売日: 1996/01/17メディア: 単行本結構前にブックオフで買ったものです。ちょくちょく見かけるので、ベストセラーになったんでしょうか。帯に「ノーベル賞受賞作家の小説、本邦初紹介!」と銘打ってある…

フリオ・リャマサーレス『無声映画のシーン(木村榮一 訳)を読みました

無声映画のシーン作者:フリオ・リャマサーレス発売日: 2012/08/23メディア: 単行本ブックオフで見かけて、好きそうな雰囲気だったので買いました。 何が好きそうだと思ったかというと、この作品のコンセプトです。母親が大事に持っていた30枚の写真を見なが…