好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

翻訳物

ヘレン・ンゴ『人種差別の習慣 人種化された身体の現象学』(小手川正二郎/酒井麻依子/野々村伊純 訳)を読みました

人種差別の習慣: 人種化された身体の現象学作者:ヘレン・ンゴ青土社Amazon新宿紀伊國屋書店でたまたま見つけて読んだ本ですが、非常に良かった。私が今すごく読みたい内容の本だったので、なるべく積まずに読み始めました。四つの章に分かれていて、週末に一…

ロジェ・グルニエ『長い物語のためのいくつかの短いお話』(宮下志朗 訳)を読みました

長い物語のためのいくつかの短いお話作者:ロジェ・グルニエ白水社Amazon年が明ける前に、このブログに書いておかなければならないことがある。 それは、2023年にロジェ・グルニエの新刊が出たということだ!!!ロジェ・グルニエは1919年にフランスのノルマ…

週末翻訳クラブ バベルうお『BABELZINE vol.3』と白川眞「ラビット・テストと中絶をめぐるSF」を読みました

babeluo.com2023年5月に発売されていた翻訳サークルバベルうおさんの『BABELZINE vol.3』を読みました。5月に東京で開催された文学フリマで新刊として出ていたのを知っていたのですが……出遅れて入手叶わず……11月の文学フリマ東京でようやっと手に入れること…

『中国女性SF作家アンソロジー 走る赤』を読みました

中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本)作者:中央公論新社Amazon2022年の春に中央公論新社から刊行された中国女性SF作家アンソロジーを、先日ようやく読みました。えっ、めっちゃ面白いんだけど、えっ! という嬉しい驚きに満ちたアンソロジーで、大満…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 13』を読みました

2023年11月11日(土)の文学フリマ東京37にて入手した『翻訳編吟13』を読み終えました。 『翻訳編吟』シリーズは海外小説の翻訳アンソロジーで、毎回文学フリマに行くたびに新刊を買っています。私が持っているのは11号からなのですが、残念ながら次号で終了と…

【新潮クレスト・ブックス 25周年記念】偏愛3冊紹介します

www.shinchosha.co.jp現代の海外文学を好んで読む人にはお馴染みのレーベル、「新潮クレスト・ブックス」。今日書店に行ったら小冊子が置かれており、25周年であることを知りました。もうそんなに! この間20周年だったばかりなのに! 月日の経つのは早いも…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 12』を読みました

2023年春に開催された文学フリマ東京36で入手した、翻訳サークル「翻訳ペンギン」さんの『翻訳編吟 12』を読みました。 2022年秋の文学フリマ東京で初めて入手して、面白かったので今回も買った翻訳アンソロジーです。今回は全8編が収められていました。内訳…

トマス・M・ディッシュ『SFの気恥ずかしさ』(浅倉久志・小島はな 訳)を読みました

SFの気恥ずかしさ作者:トマス・M・ディッシュ国書刊行会Amazonこのブログを書く前に、告白しておきますが、私、ディッシュの小説を読んだことがないです。 『いさましいちびのトースター』を名前だけ知っているけど、読んだことはないです。それでもこの本は…

セレン・チャリントン=ホリンズ『世界の奇食の歴史 人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか』(阿部将大 訳)を読みました

世界の奇食の歴史:人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか作者:セレン・チャリントン=ホリンズ原書房Amazonちょっと変わったジャンルの歴史本が好きなので、この本は発売当初からチェックしていました。書店に並んだのを買いに行ったらカバーの紙質が…

ジェニー・クリーマン『セックスロボットと人造肉 テクノロジーは性、食、生、死を”征服”できるか』(安藤貴子 訳)を読みました

セックスロボットと人造肉 テクノロジーは性、食、生、死を“征服"できるか作者:ジェニー・クリーマン双葉社Amazonちょっと前に読み終わっていたんですが書く時間がなかった。2022年8月に刊行されたノンフィクションです。 著者はイギリス人女性、原題は"SEX …

『RIKKA ZINE vol.1 SHIPPING』を読みました

rikka-zine.com2022年11月に東京で開催された文学フリマにて入手した国内外SF・ファンタジーのZINE『RIKKA ZINE』を読み終えました。 2010年代海外SF傑作選などを手掛ける橋本輝幸さん責任編集とあらば、きっと面白いに違いない!ということで迷わず入手した…

イサク・ディーネセン『バベットの晩餐会』(桝田啓介 訳)を読みました

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)作者:イサク ディーネセン筑摩書房Amazon前々から噂には聞いていたものの未読であった『バベットの晩餐会』を読みました。表題作と『エーレンガード』の二本立ての短篇集です。ちなみに映画は観ていません。舞台はノルウェーの…

フリオ・リャマサーレス『リャマサーレス短篇集』(木村榮一 訳)を読みました

リャマサーレス短篇集作者:フリオ・リャマサーレス河出書房新社Amazon木村榮一訳のリャマサーレスの短編集が出たと知ったなら、読まないわけがない。 リャマサーレスは1955年生まれのスペインの作家で、『黄色い雨』という長編小説で有名な作家です。しかし…

ダリアン・リーダー『HANDS―手の精神史』(松本卓也・牧瀬英幹 訳)を読みました

ハンズ 手の精神史作者:ダリアン リーダー左右社Amazon書店で見つけて買いました。「私たちは手のしもべである。」という、帯のアオリにやられたのです。 想像が膨らむ目次は以下の通り。1. 分裂する手 ―自律と自由のパラドックス 2. 自律する手 ―手と口の…

ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』(水野忠夫 訳)を読みました

巨匠とマルガリータ(上) (岩波文庫)作者:ブルガーコフ岩波書店Amazon巨匠とマルガリータ(下) (岩波文庫)作者:ブルガーコフ岩波書店Amazon実は結構前に読み終わっていたんですが、ずっと記事を書きそびれていました。めちゃくちゃ面白くて夢中で読んだも…

現代思想 2020年10月臨時増刊号『総特集 ブラック・ライヴズ・マター』を読みました

現代思想 2020年10月臨時増刊号 総特集◎ブラック・ライヴズ・マター作者:大和田俊之,磯部涼,檀廬影,有光道生,和泉真澄青土社Amazon2020年10月に臨時増刊号として店頭に並んだ現代思想の「ブラック・ライヴズ・マター」特集。装幀が格好いいなと思ったら、川…

ブッツァーティ『タタール人の砂漠』(脇功 訳)を読みました

タタール人の砂漠 (岩波文庫)作者:ブッツァーティ発売日: 2013/04/17メディア: 文庫ずっと本棚に飾っていたブッツァーティの『タタール人の砂漠』を遂に読みました。いろんなところで良い評判を聞いていた小説でした。これが噂の!内容をあまり知らずに読み…

J・シュペルヴィエル『ノアの方舟』(堀口大學 訳)を読みました

シュペルヴィエル『ノアの方舟』堀口大學訳、青銅社、1977年古本屋でシュペルヴィエルの本を見つけたので、買って読みました。普段はAmazonのリンクを記事冒頭に載せるのですが、ISBNがついていない本だったので、代わりにセルフ書影を掲げておきます。 青銅…

チャン・リュジン『仕事の喜びと哀しみ』(牧野美加 訳)を読みました

仕事の喜びと哀しみ (K-BOOK PASS 1)作者:リュジン, チャン発売日: 2020/12/23メディア: 単行本数年前から韓国の現代小説が書店で目立つようになっていたけれど、なんとなく機会を逃し続けてまだ一冊も読んでいなかった。現代韓国小説市場はフェミニズムとす…

パティ・スミス『Mトレイン』(管啓次郎 訳)を読みました

Мトレイン作者:パティ・スミス発売日: 2020/11/21メディア: 単行本パティ・スミスの名前は一応知っていましたが、この本は訳者の管啓次郎に惹かれて買いましたが、結果的にパティ・スミスのことも好きになった。 河出書房新社から出ているのですが、装丁がい…

ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』(雨沢泰 訳)を読みました

白の闇 新装版作者:ジョゼ・サラマーゴ発売日: 2008/05/30メディア: 単行本(ソフトカバー)「はじめての海外文学スペシャル2020」で紹介されていて気になってました。ようやく読みましたが、読み始めてから読み終わるまで結構時間がかかって、しんどかった…

橋本輝幸 編『2010年代海外SF傑作選』を読みました

2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン発売日: 2020/12/17メディア:…

ヨシフ・ブロツキー『ヴェネツィア 水の迷宮の夢』(金関寿夫 訳)を読みました

ヴェネツィア 水の迷宮の夢作者:ヨシフ・ブロツキー発売日: 1996/01/17メディア: 単行本結構前にブックオフで買ったものです。ちょくちょく見かけるので、ベストセラーになったんでしょうか。帯に「ノーベル賞受賞作家の小説、本邦初紹介!」と銘打ってある…

フリオ・リャマサーレス『無声映画のシーン(木村榮一 訳)を読みました

無声映画のシーン作者:フリオ・リャマサーレス発売日: 2012/08/23メディア: 単行本ブックオフで見かけて、好きそうな雰囲気だったので買いました。 何が好きそうだと思ったかというと、この作品のコンセプトです。母親が大事に持っていた30枚の写真を見なが…

橋本輝幸 編『2000年代海外SF傑作選』を読みました

2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ発売日: 2020/11/19メディア: 文庫2020年が…

ジョン・ウィリアムズ『ブッチャーズ・クロッシング』(布施由紀子 訳)を読みました

ブッチャーズ・クロッシング作者:ジョン・ウィリアムズ発売日: 2018/02/26メディア: 単行本人生初のジョン・ウィリアムズ作品、じっくりゆっくり読んでいましたが、ついに読了しました。ジョン・ウィリアムズといえば『ストーナー』なのは知っているのですが…

ポール・シャピロ『クリーンミート 培養肉が世界を変える』(鈴木素子 訳)を読みました

クリーンミート 培養肉が世界を変える作者:ポール・シャピロ発売日: 2020/01/09メディア: 単行本面白かったという話を聞いて図書館で借りて読んだのですが……めちゃくちゃ面白かったので後日改めて買います! 「クリーンミート」=培養肉という、名前は聞いた…

ラヴィ・ティドハー『金星は花に満ちて』を読みました

www.hal-con.net日本のSF界には、はるこんという行事があります。春に行われるコンベンションだから、はるこん。ゲスト・オブ・オナーとして海外作家を招いたり、ディーラーズルームで即売会をしたりというお祭り……なのですが、実は行ったことがありません。…

アリス・テイラー『窓辺のキャンドル アイルランドのクリスマス節』(高橋歩 訳)を読みました

窓辺のキャンドル アイルランドのクリスマス節作者:アリス・テイラー発売日: 2018/12/07メディア: 単行本アイルランドの人気作家であるアリス・テイラー、初めて読みました。2019年の神保町まつりで手に入れたのですが、去年は読みそびれていて、今年ようや…

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』を読みました

シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫)発売日: 2020/09/30メディア: 文庫シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテムの編集によるイスラエルSFアンソロジーの翻訳です。訳者は中村融、安野玲、市田泉、植草昌実、山岸真、山田順子。 …