好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

翻訳小説同人誌『BABELZINE 1』を読みました

booth.pm未邦訳翻訳小説11篇+評論で構成された同人誌です。記念すべき創刊号。Twitterで見かけて、面白そうだったので買いました。買ってよかった。 作り手は「週末翻訳クラブ・バベルうお」という、8名から成るサークル。サークルについては下記リンクのイ…

西崎憲『未知の鳥類がやってくるまで』を読みました

未知の鳥類がやってくるまで (単行本)作者:西崎 憲発売日: 2020/03/27メディア: 単行本(ソフトカバー)短文集『特別ではない一日』を読んでから密かにチェックしていた西崎憲の、彼自身の著作がこの春に刊行されました。帯によれば8年ぶりとのこと。ずっと…

現代思想 2020年6月号『汎心論――21世紀の心の哲学』を読みました

現代思想 2020年6月号 特集=汎心論 ―21世紀の心の哲学―作者:永井均,高村夏輝,鈴木貴之発売日: 2020/05/28メディア: ムック普段このブログに雑誌の感想を書くことはないのですが、とても面白かったので書いておく。とはいえ素人の感想なので、もしかしたら著…

グレッグ・イーガン『万物理論』を読みました

万物理論 (創元SF文庫)作者:グレッグ・イーガン発売日: 2004/10/28メディア: 文庫人生初のイーガンを読みました。実は結構前に読み終えてはいたのですが、いろいろあってブログに書きそびれていた。でもとても面白かったので、記事として残しておくことにし…

デボラ・フォーゲル『アカシアは花咲く』を読みました

アカシアは花咲く―モンタージュ (東欧の想像力)作者:フォーゲル,デボラ発売日: 2018/12/01メディア: 単行本松籟社の「東欧の想像力」と題されたシリーズの一冊。このシリーズは前々から気になってはいたものの、買うのは初めてでした。とても良かったので今…

劉慈欣『三体II 黒暗森林』を読みました

三体Ⅱ 黒暗森林 上作者:劉 慈欣発売日: 2020/06/18メディア: 単行本三体II 黒暗森林 下作者:劉 慈欣発売日: 2020/06/18メディア: 単行本単行本SFとして驚異的なヒットを放ったと噂の『三体』の続編をさっそく読みました!一年待ってた!! 続編は、迫りくる…

松本清張『昭和史発掘 5』を読みました

文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』5巻を読み終えました。 ISBNなし、amazonの新版は収録内容が違うのでリンクは無しです。旧版5巻の内容は以下の通り。・スパイ"M"の謀略 ・小林多喜二の死これまでずっと三本立てだったのですが、ここで初の二本…

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』を読みました

ロリータ (新潮文庫)作者:ウラジーミル ナボコフ発売日: 2006/10/30メディア: 文庫長らく積んでいたナボコフの『ロリータ』をついに読みました。ナボコフは文学講義をちょこちょこ読みましたが、小説はなんとなく敬遠していました。それは三島由紀夫を長らく…

ジョルジュ・ペレック『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』を読みました

給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法作者:ジョルジュ ペレック発売日: 2015/06/01メディア: 単行本Twitterでその存在を知ってからずっと欲しかった本でした。本屋に行っても置いてないし、版元にもないかもしれないという噂のある幻の本だったの…

高里椎奈『うちの執事に願ったならば 6』を読みました

うちの執事に願ったならば 6 (角川文庫)作者:高里 椎奈発売日: 2018/12/22メディア: 文庫久々になにか軽いものを…ということで、安心安全ほんわかミステリーを読みました。和む。 由緒正しい名家の御曹司・花穎が立派な当主を目指して成長する話であり、彼を…

Newtonライト『三角関数のきほん』を読みました

Newtonライト『三角関数のきほん』 (ニュートンムック)発売日: 2018/03/09メディア: ムックコロナ禍により自宅で過ごす時間が否応なく増えたここ数か月。出かけるのは好きですが基本的にはインドアなので、家にいろと言われればそれはそれで楽しい。たっぷり…

ギョーム・ド・ベルティエ・ド・ソヴィニー『フランス史』を読みました

フランス史 (講談社選書メチエ)作者:ギヨーム・ド・ベルティエ・ド・ソヴィニー発売日: 2019/04/12メディア: 単行本(ソフトカバー)最近ずっとブログを書いていなかったことについては、自分でも気になっていました。単純に、読み終えた本がなくて書けなか…

松本清張『昭和史発掘 4』を読みました

分厚い本を読んでいる中、せっせと読み進めているのが松本清張の『昭和史発掘シリーズ』です。4巻まで読了。 これまで文春文庫新装版のリンクを記事冒頭に貼っていたのですが、新装版だと巻数と中身がズレることに気付いたのでリンク張るのは止めます。 第4…

シャルル・バルバラ『蝶を飼う男 シャルル・バルバラ幻想作品集』を読みました

蝶を飼う男:シャルル・バルバラ幻想作品集作者:シャルル・バルバラ発売日: 2019/08/24メディア: 単行本2019年に刊行された、5編の小説が収められた短編集です。とはいえ実際には、中編も含まれていた。 綺麗な表紙を表にして本棚に飾っていたのですが、最近…

『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を読みました

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)作者:良一, 戸部,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎発売日: 1991/08/01メディア: 文庫読もうと思って買ってはいたのですが、長らく積んでいた本のひとつです(こういうのばっかり)。 しか…

松本清張『昭和史発掘 3』を読みました

新装版 昭和史発掘 (3) (文春文庫)作者:松本 清張発売日: 2005/05/10メディア: 文庫松本清張の昭和史本、第3巻を読み終えました。ちなみに2巻の感想はこちらからどうぞ。 上の写真は新装版ですが、私の手元にあるのはISBNついてない時代のものなので、記事中…

猪熊弦一郎・集『物物』を読みました

物物作者:猪熊 弦一郎,ホンマ タカシ,岡尾 美代子,堀江 敏幸発売日: 2012/07/30メディア: ハードカバー先日京都で古本屋巡りをしたときに手に入れた本です。最近幻想小説ばかり読んでいたためにふわふわした状態が続いていて、このままいくと物質世界に帰っ…

『夜想#中川多理――物語の中の少女』を読みました

夜想#中川多理: 物語の中の少女発売日: 2018/05/31メディア: 単行本雑誌「夜想」の特別号として刊行された、人形作家・中川多理の写真集です。 パラボリカ・ビスで開催していた展覧会を観に行ったときに買ったサイン本。カバーがガーゼになっていて、とても…

南條竹則・編訳『英国怪談珠玉集』を読みました。

英国怪談珠玉集発売日: 2018/07/23メディア: 大型本久しぶりのブログ更新ですね。 ブログも書かずに何してたかっていうと、引きこもり生活をしていたわけですが、それで読書量がぐんと増えるわけではないのでした。むしろ美術館行けなくなって「行ってきまし…

松本清張『昭和史発掘 2』を読みました

新装版 昭和史発掘 (2) (文春文庫)作者:松本 清張発売日: 2005/04/08メディア: 文庫松本清張の昭和史本その2です。1はこちら。 うちにあるのは父のお古で、ISBNついてない時代のものですが、上の写真は新装版です。1巻に続き、2巻も三本立てとなっておりまし…

W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』を読みました

アウステルリッツ(新装版)作者:W・G・ゼーバルト発売日: 2020/02/29メディア: 単行本本屋で見かけて、最初は表紙の少年の写真が妙に目に留まった。ぱらりとめくったら4ページ目の見開き上部に4枚の写真が載せられていて、そこで射抜かれてレジに持っていきま…

フィリップ・ウィルキンソン『まぼろしの奇想建築』を読みました

まぼろしの奇想建築 天才が夢みた不可能な挑戦 (NATIONAL GEOGRAPHIC)作者:フィリップ・ウィルキンソン発売日: 2018/09/06メディア: 単行本外出を控えているので家にいる時間が長い今日この頃、持ち歩くにはちょっと重い本を今こそ読むべし!と思って、積ん…

橋爪大三郎『はじめての構造主義』を読みました

はじめての構造主義 (講談社現代新書)作者:橋爪 大三郎発売日: 1988/05/18メディア: 新書ずっと読もう読もうと思っていながらずるずるとここまで来てしまった本です。去年人から借りてから手元に置いてはいたのですが、ゆっくり読もうと思っておいたら年を越…

クリストファー・R・ブラウニング『増補 普通の人びと』を読みました

増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))作者:クリストファー・R・ブラウニング発売日: 2019/05/10メディア: 文庫去年出たときに名著の気配を感じて買っておいた本です。買っておいたはいいものの、気が滅入るだろう…

鹿島茂『19世紀パリ・イマジネール 馬車が買いたい!』を読みました

馬車が買いたい!―19世紀パリ・イマジネール作者:鹿島 茂メディア: ハードカバー最後の渋谷大古本市で手に入れました。ずっと読みたかった本です!雑誌『ふらんす』に連載していたものをまとめたものとのことで、安心の白水社刊。フランスと言えば白水社。そ…

ハラルト・シュテンプケ『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』を読みました

鼻行類 (平凡社ライブラリー)作者:ハラルト シュテュンプケ発売日: 1999/05/07メディア: 新書ずっと読もう読もうと思って積んでいたのですが、そろそろいいかなと思って読みました。これが噂の鼻行類か…!! 訳は日高敏隆と羽田節子です。日高敏隆のエッセイ…

松本清張『昭和史発掘 1』を読みました

新装版 昭和史発掘 (1) (文春文庫)作者:松本 清張発売日: 2005/03/10メディア: 文庫実家の引っ越しに伴い、父親から貰った本の山の中に含まれていた一冊です。多分シリーズ全部揃っているはず。上のリンクは新装版ですが、うちにあるのはISBNついてない版で…

木下龍也・岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』を読みました

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ作者:木下 龍也,岡野 大嗣発売日: 2017/12/19メディア: 単行本以前読んだ『たべるのがおそい』vol.1 で木下龍也の短歌がいいなぁと思ったので、買いました。帯によれば「本書はふたりの高校生に歌人ふた…

エリック・マコーマック『雲』を読みました

雲 (海外文学セレクション)作者:エリック・マコーマック発売日: 2019/12/20メディア: 単行本前評判が良かったので刊行前から気になっていた本です。昨年末に刊行されて本屋でぱらっと見た時にきっと好みだという確信を得てすぐに買ったものの、しばらく忙し…

藤野可織『ドレス』を読みました

ドレス作者:藤野可織発売日: 2017/11/13メディア: 単行本今日は藤野可織の凄さについて存分に語りたいと思っているのですが、ちょっと私の手に負えるかどうか…しかし勢いに乗って、とにかくやってみることにします。藤野可織は、すごいぞ。初めて読んだ藤野…