好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

短編集

大木芙沙子『花を刺すーエレガント・エディションー』を読みました

booth.pm文学フリマ東京38で購入した『花を刺すーエレガント・エディションー』には、エレガントザリガニこと大木芙沙子さん直筆の回文カードが特典封入されていました。そのカードを栞代わりにして読んでいたのですが、全17作の短篇集、至福の読書時間だっ…

藤井佯 編『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』を読みました

www.amazon.co.jp文学フリマ東京38で我が家の本棚にお迎えした本。「故郷喪失」をテーマにした、SFや私小説やエッセイなど全13篇のアンソロジーです。とてもよかった。なぜテーマが故郷喪失かという点については、この本を刊行する前にクラウドファンディン…

芝木好子『女の庭』を読みました

女の庭 (集英社文庫)作者:芝木 好子集英社Amazon新刊書店ではほとんど見かけなくなってしまった芝木好子は、古本屋へ行けば文庫の棚に数冊並んでいたり、たまに200円コーナーとかに置かれていたりすることが多い。そのたびに持っていない文庫があれば買って…

藤井太洋『公正的戦闘規範』を読みました

公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)作者:藤井 太洋早川書房Amazonまだ読んでなかったんかーいと突っ込まれそうな2017年刊行の文庫ですが、ようやく読みました。藤井太洋初の短編集とのこと。でもこれ、表題作「公正的戦闘規範」の舞台は2024年なんですよ。つま…

なかむらあゆみ編『巣 徳島SFアンソロジー』を読みました

ayumishobo.base.shop 「そっとふみはずす」=「SF」がテーマと聞いて、発売前から楽しみにしていた徳島SFアンソロジーを読み終えました。Kaguya Books印ではあるものの、かぐやさんがこれまで刊行してきたSFアンソロジーとはまったく違う雰囲気であることが…

ロジェ・グルニエ『長い物語のためのいくつかの短いお話』(宮下志朗 訳)を読みました

長い物語のためのいくつかの短いお話作者:ロジェ・グルニエ白水社Amazon年が明ける前に、このブログに書いておかなければならないことがある。 それは、2023年にロジェ・グルニエの新刊が出たということだ!!!ロジェ・グルニエは1919年にフランスのノルマ…

週末翻訳クラブ バベルうお『BABELZINE vol.3』と白川眞「ラビット・テストと中絶をめぐるSF」を読みました

babeluo.com2023年5月に発売されていた翻訳サークルバベルうおさんの『BABELZINE vol.3』を読みました。5月に東京で開催された文学フリマで新刊として出ていたのを知っていたのですが……出遅れて入手叶わず……11月の文学フリマ東京でようやっと手に入れること…

『中国女性SF作家アンソロジー 走る赤』を読みました

中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本)作者:中央公論新社Amazon2022年の春に中央公論新社から刊行された中国女性SF作家アンソロジーを、先日ようやく読みました。えっ、めっちゃ面白いんだけど、えっ! という嬉しい驚きに満ちたアンソロジーで、大満…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 13』を読みました

2023年11月11日(土)の文学フリマ東京37にて入手した『翻訳編吟13』を読み終えました。 『翻訳編吟』シリーズは海外小説の翻訳アンソロジーで、毎回文学フリマに行くたびに新刊を買っています。私が持っているのは11号からなのですが、残念ながら次号で終了と…

相川英輔『黄金蝶を追って』を読みました

黄金蝶を追って (竹書房文庫 あ 13-1)作者:相川 英輔竹書房Amazon書店で見かけて買いました。きれいな表紙だな、というのに惹かれて手に取ったのですが、購入の決め手は裏表紙の帯です。この本に収められた短編のひとつ「ハミングバード」の書き出しが抜粋さ…

【新潮クレスト・ブックス 25周年記念】偏愛3冊紹介します

www.shinchosha.co.jp現代の海外文学を好んで読む人にはお馴染みのレーベル、「新潮クレスト・ブックス」。今日書店に行ったら小冊子が置かれており、25周年であることを知りました。もうそんなに! この間20周年だったばかりなのに! 月日の経つのは早いも…

松波太郎『そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか?』を読みました

そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか?作者:松波太郎書肆侃侃房Amazonとんでもない本を読んでしまった。『故郷』『イベリア半島に生息する生物』『あカ佐タな』『王国の行方—―二代目の手腕』の四つの作品が収められた短編集で、いずれも音としての…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 12』を読みました

2023年春に開催された文学フリマ東京36で入手した、翻訳サークル「翻訳ペンギン」さんの『翻訳編吟 12』を読みました。 2022年秋の文学フリマ東京で初めて入手して、面白かったので今回も買った翻訳アンソロジーです。今回は全8編が収められていました。内訳…

春暮康一『法治の獣』を読みました

法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)作者:春暮康一早川書房Amazon去年から仲間うちで「『法治の獣』めっちゃ面白い」という話を何人もがしていて、ずっと気になっていながら読めていなかった一冊。知らない作家さんだなあと思っていたら、2019年にデビュー…

藤野可織『青木きららのちょっとした冒険』を読みました

青木きららのちょっとした冒険作者:藤野 可織講談社Amazon藤野可織は新刊が出たら絶対買う作家のひとり。今回も買ってはいたもののしばらく積んでいたのですが、ようやく読むことができました。変わらず素敵な藤野可織ワールドでした。最高。『青木きららの…

『RIKKA ZINE vol.1 SHIPPING』を読みました

rikka-zine.com2022年11月に東京で開催された文学フリマにて入手した国内外SF・ファンタジーのZINE『RIKKA ZINE』を読み終えました。 2010年代海外SF傑作選などを手掛ける橋本輝幸さん責任編集とあらば、きっと面白いに違いない!ということで迷わず入手した…

イサク・ディーネセン『バベットの晩餐会』(桝田啓介 訳)を読みました

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)作者:イサク ディーネセン筑摩書房Amazon前々から噂には聞いていたものの未読であった『バベットの晩餐会』を読みました。表題作と『エーレンガード』の二本立ての短篇集です。ちなみに映画は観ていません。舞台はノルウェーの…

フリオ・リャマサーレス『リャマサーレス短篇集』(木村榮一 訳)を読みました

リャマサーレス短篇集作者:フリオ・リャマサーレス河出書房新社Amazon木村榮一訳のリャマサーレスの短編集が出たと知ったなら、読まないわけがない。 リャマサーレスは1955年生まれのスペインの作家で、『黄色い雨』という長編小説で有名な作家です。しかし…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 11』を読みました

2022年11月22日(日)に東京で行われた文学フリマにて入手した『翻訳編吟 11』を読みました。 編吟と書いて「ペンギン」と読むようです。著作権の切れた作品の翻訳を行っているサークルさんで、前々から気にはなっていたものの、購入は初です。 ホームページが…

西崎憲・編『移動図書館の子供たち』を読みました

kaze no tanbun 移動図書館の子供たち作者:我妻 俊樹,円城 塔,大前 粟生,勝山 海百合,木下 古栗,古谷田 奈月,斎藤 真理子,西崎 憲,乘金 顕斗,伴名 練,藤野 可織,星野 智幸,松永 美穂,水原 涼,宮内 悠介,柳原 孝敦柏書房Amazon<kaze no tanbun>シリーズ第二…

J・シュペルヴィエル『ノアの方舟』(堀口大學 訳)を読みました

シュペルヴィエル『ノアの方舟』堀口大學訳、青銅社、1977年古本屋でシュペルヴィエルの本を見つけたので、買って読みました。普段はAmazonのリンクを記事冒頭に載せるのですが、ISBNがついていない本だったので、代わりにセルフ書影を掲げておきます。 青銅…

チャン・リュジン『仕事の喜びと哀しみ』(牧野美加 訳)を読みました

仕事の喜びと哀しみ (K-BOOK PASS 1)作者:リュジン, チャン発売日: 2020/12/23メディア: 単行本数年前から韓国の現代小説が書店で目立つようになっていたけれど、なんとなく機会を逃し続けてまだ一冊も読んでいなかった。現代韓国小説市場はフェミニズムとす…

橋本輝幸 編『2010年代海外SF傑作選』を読みました

2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン発売日: 2020/12/17メディア:…

橋本輝幸 編『2000年代海外SF傑作選』を読みました

2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ発売日: 2020/11/19メディア: 文庫2020年が…

ねじれ双角錐群『来たるべき因習』を読みました

https://nejiresoukakusuigun.tumblr.com/post/632304404947681280/%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E5%9B%A0%E7%BF%92-strange-festival-speculative-fictionnejiresoukakusuigun.tumblr.com2020年秋の文学フリマで手に入れた一冊を読み終え…

ラヴィ・ティドハー『金星は花に満ちて』を読みました

www.hal-con.net日本のSF界には、はるこんという行事があります。春に行われるコンベンションだから、はるこん。ゲスト・オブ・オナーとして海外作家を招いたり、ディーラーズルームで即売会をしたりというお祭り……なのですが、実は行ったことがありません。…

酉島伝法『るん(笑)』を読みました

るん(笑)作者:酉島 伝法発売日: 2020/11/26メディア: 単行本酉島伝法の新刊とあらば買わないわけがない。しかし言霊が強くてしんどかったので、休み休み読みました。 もともと酉島伝法の本はすらすら読めるものではないのだけれど、今回は特に、じりじりとに…

グローバルエリート『WORK マンモス大合成』を読みました

globalelite.black2020年は地球レベルでいろいろありましたが、私にとっては「初めて文フリに行った年」でもありました。文フリ=文学フリマ。ずっと気になってはいたのですが行ったことは無く、しかし今回売り子のお手伝いをする機会を得て遂にデビューしま…

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』を読みました

シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫)発売日: 2020/09/30メディア: 文庫シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテムの編集によるイスラエルSFアンソロジーの翻訳です。訳者は中村融、安野玲、市田泉、植草昌実、山岸真、山田順子。 …

田中美穂 編『胞子文学名作選』を読みました

胞子文学名作選作者:田中 美穂発売日: 2013/09/20メディア: 単行本やばい本を手に入れてしまった。実は先日、倉敷に行ってきました。一人旅で、唐突に思い立って。 旅行には当然本を持っていくわけですが、この旅行では手持ちの本が思った以上に進んでしまっ…