好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

柴崎友香『続きと始まり』を読みました

続きと始まり作者:柴崎 友香集英社Amazon柴崎友香は、新刊が出たら買う作家のひとりだ。とはいえ好きになったのが少し遅かったので、少し前に出た本は持っていないものも多いのですが、読むたびに毎回とてもしっくりくるので、なるべく揃えるようにしている…

川野芽生『かわいいピンクの竜になる』を読みました

かわいいピンクの竜になる作者:川野芽生左右社Amazon2024年初買いの本だった一冊。小説に比べるとエッセイはあまり買わないのですが、川野芽生のエッセイは「A is for Asexual」で読んだことがあり、「エッセイ集!? 読まねば!」と思って買ってきたのでし…

藤井太洋『オーグメンテッド・スカイ』を読みました

オーグメンテッド・スカイ作者:藤井 太洋文藝春秋AmazonITエンジニアが主人公ではない藤井太洋の小説を、初めて読んだかもしれない。小説の舞台は、鹿児島県立南郷高等学校。この学校の理数科は全国から優秀な若者が集まってくるところで、中でも遠方から入…

芝木好子『女の庭』を読みました

女の庭 (集英社文庫)作者:芝木 好子集英社Amazon新刊書店ではほとんど見かけなくなってしまった芝木好子は、古本屋へ行けば文庫の棚に数冊並んでいたり、たまに200円コーナーとかに置かれていたりすることが多い。そのたびに持っていない文庫があれば買って…

藤井太洋『公正的戦闘規範』を読みました

公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)作者:藤井 太洋早川書房Amazonまだ読んでなかったんかーいと突っ込まれそうな2017年刊行の文庫ですが、ようやく読みました。藤井太洋初の短編集とのこと。でもこれ、表題作「公正的戦闘規範」の舞台は2024年なんですよ。つま…

なかむらあゆみ編『巣 徳島SFアンソロジー』を読みました

ayumishobo.base.shop 「そっとふみはずす」=「SF」がテーマと聞いて、発売前から楽しみにしていた徳島SFアンソロジーを読み終えました。Kaguya Books印ではあるものの、かぐやさんがこれまで刊行してきたSFアンソロジーとはまったく違う雰囲気であることが…

ヘレン・ンゴ『人種差別の習慣 人種化された身体の現象学』(小手川正二郎/酒井麻依子/野々村伊純 訳)を読みました

人種差別の習慣: 人種化された身体の現象学作者:ヘレン・ンゴ青土社Amazon新宿紀伊國屋書店でたまたま見つけて読んだ本ですが、非常に良かった。私が今すごく読みたい内容の本だったので、なるべく積まずに読み始めました。四つの章に分かれていて、週末に一…

2023年回顧

この間年が明けたと思ったらもう暮れてしまった。 それでも2023年は、2022年よりも人間らしい生活ができたのではないかと思っています。中でも『現代SF小説ガイドブック 可能性の文学』、『SFマガジン10月号 特集「SFをつくる新しい力」』にブックレビューを…

ロジェ・グルニエ『長い物語のためのいくつかの短いお話』(宮下志朗 訳)を読みました

長い物語のためのいくつかの短いお話作者:ロジェ・グルニエ白水社Amazon年が明ける前に、このブログに書いておかなければならないことがある。 それは、2023年にロジェ・グルニエの新刊が出たということだ!!!ロジェ・グルニエは1919年にフランスのノルマ…

週末翻訳クラブ バベルうお『BABELZINE vol.3』と白川眞「ラビット・テストと中絶をめぐるSF」を読みました

babeluo.com2023年5月に発売されていた翻訳サークルバベルうおさんの『BABELZINE vol.3』を読みました。5月に東京で開催された文学フリマで新刊として出ていたのを知っていたのですが……出遅れて入手叶わず……11月の文学フリマ東京でようやっと手に入れること…

『中国女性SF作家アンソロジー 走る赤』を読みました

中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本)作者:中央公論新社Amazon2022年の春に中央公論新社から刊行された中国女性SF作家アンソロジーを、先日ようやく読みました。えっ、めっちゃ面白いんだけど、えっ! という嬉しい驚きに満ちたアンソロジーで、大満…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 13』を読みました

2023年11月11日(土)の文学フリマ東京37にて入手した『翻訳編吟13』を読み終えました。 『翻訳編吟』シリーズは海外小説の翻訳アンソロジーで、毎回文学フリマに行くたびに新刊を買っています。私が持っているのは11号からなのですが、残念ながら次号で終了と…

ねじれ双角錐群『よだつ』を読みました

nsoukakusuigun.booth.pm2023年11月11日(土)に行われた文学フリマ東京37にて入手した、文芸同人・ねじれ双角錐群によるアンソロジー『よだつ』を読みました。ねじれ双角錐群さんはテーマを掲げたアンソロジーをほぼ毎年刊行されていて、毎回楽しみにしていま…

相川英輔『黄金蝶を追って』を読みました

黄金蝶を追って (竹書房文庫 あ 13-1)作者:相川 英輔竹書房Amazon書店で見かけて買いました。きれいな表紙だな、というのに惹かれて手に取ったのですが、購入の決め手は裏表紙の帯です。この本に収められた短編のひとつ「ハミングバード」の書き出しが抜粋さ…

【新潮クレスト・ブックス 25周年記念】偏愛3冊紹介します

www.shinchosha.co.jp現代の海外文学を好んで読む人にはお馴染みのレーベル、「新潮クレスト・ブックス」。今日書店に行ったら小冊子が置かれており、25周年であることを知りました。もうそんなに! この間20周年だったばかりなのに! 月日の経つのは早いも…

松波太郎『そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか?』を読みました

そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか?作者:松波太郎書肆侃侃房Amazonとんでもない本を読んでしまった。『故郷』『イベリア半島に生息する生物』『あカ佐タな』『王国の行方—―二代目の手腕』の四つの作品が収められた短編集で、いずれも音としての…

能仲謙次榛見あきる武見倉森揚羽はな菊地和広渡邉清文稲田一声『トランジ 死者と再会する物語』を読みました

2023年5月に開催された「文学フリマ東京36」にて購入したアンソロジー『トランジ 死者と再会する物語』を読みました。やべぇの読んでしまった、と慄いている。これだから文フリは……!同人誌なのでISBNはなく、2023/6/17現在では通販もしていないようです。参…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 12』を読みました

2023年春に開催された文学フリマ東京36で入手した、翻訳サークル「翻訳ペンギン」さんの『翻訳編吟 12』を読みました。 2022年秋の文学フリマ東京で初めて入手して、面白かったので今回も買った翻訳アンソロジーです。今回は全8編が収められていました。内訳…

井上彼方 編『生物SFアンソロジー なまものの方舟/方舟のかおぶれ』を読みました

2023年5月に開催された「文学フリマ東京36」にて入手した生物SFアンソロジー『なまものの方舟/方舟のかおぶれ』を読みました。 編者は『新月』の編者でもある井上彼方さんなので、まず間違いなく私好みであることは信じていた。それに生物SFは好きなので、…

トマス・M・ディッシュ『SFの気恥ずかしさ』(浅倉久志・小島はな 訳)を読みました

SFの気恥ずかしさ作者:トマス・M・ディッシュ国書刊行会Amazonこのブログを書く前に、告白しておきますが、私、ディッシュの小説を読んだことがないです。 『いさましいちびのトースター』を名前だけ知っているけど、読んだことはないです。それでもこの本は…

春暮康一『法治の獣』を読みました

法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)作者:春暮康一早川書房Amazon去年から仲間うちで「『法治の獣』めっちゃ面白い」という話を何人もがしていて、ずっと気になっていながら読めていなかった一冊。知らない作家さんだなあと思っていたら、2019年にデビュー…

セレン・チャリントン=ホリンズ『世界の奇食の歴史 人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか』(阿部将大 訳)を読みました

世界の奇食の歴史:人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか作者:セレン・チャリントン=ホリンズ原書房Amazonちょっと変わったジャンルの歴史本が好きなので、この本は発売当初からチェックしていました。書店に並んだのを買いに行ったらカバーの紙質が…

ジェニー・クリーマン『セックスロボットと人造肉 テクノロジーは性、食、生、死を”征服”できるか』(安藤貴子 訳)を読みました

セックスロボットと人造肉 テクノロジーは性、食、生、死を“征服"できるか作者:ジェニー・クリーマン双葉社Amazonちょっと前に読み終わっていたんですが書く時間がなかった。2022年8月に刊行されたノンフィクションです。 著者はイギリス人女性、原題は"SEX …

藤野可織『青木きららのちょっとした冒険』を読みました

青木きららのちょっとした冒険作者:藤野 可織講談社Amazon藤野可織は新刊が出たら絶対買う作家のひとり。今回も買ってはいたもののしばらく積んでいたのですが、ようやく読むことができました。変わらず素敵な藤野可織ワールドでした。最高。『青木きららの…

『RIKKA ZINE vol.1 SHIPPING』を読みました

rikka-zine.com2022年11月に東京で開催された文学フリマにて入手した国内外SF・ファンタジーのZINE『RIKKA ZINE』を読み終えました。 2010年代海外SF傑作選などを手掛ける橋本輝幸さん責任編集とあらば、きっと面白いに違いない!ということで迷わず入手した…

後藤明生『挟み撃ち』を読みました

挾み撃ち (講談社文芸文庫)作者:後藤 明生講談社Amazon後藤明生の名前を知ったのは、2022年6月に刊行された『代わりに読む人創刊準備号』だった。www.kawariniyomuhito.comTwitterで流れてきて興味を持って書店で手にとって、面白そうだったのでそのまま買…

イサク・ディーネセン『バベットの晩餐会』(桝田啓介 訳)を読みました

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)作者:イサク ディーネセン筑摩書房Amazon前々から噂には聞いていたものの未読であった『バベットの晩餐会』を読みました。表題作と『エーレンガード』の二本立ての短篇集です。ちなみに映画は観ていません。舞台はノルウェーの…

2022年回顧

気づいたら大晦日だった。 2022年はこれまでの人生で一番仕事が忙しい年だった。なんかずっと働いていた。なんなら夢の中でも仕事していた。もうやってられーん!転職してやる!と騒いでいた時期もありましたが、いろいろあって今のタイミングでは諦めました…

フリオ・リャマサーレス『リャマサーレス短篇集』(木村榮一 訳)を読みました

リャマサーレス短篇集作者:フリオ・リャマサーレス河出書房新社Amazon木村榮一訳のリャマサーレスの短編集が出たと知ったなら、読まないわけがない。 リャマサーレスは1955年生まれのスペインの作家で、『黄色い雨』という長編小説で有名な作家です。しかし…

翻訳ペンギン『翻訳編吟 11』を読みました

2022年11月22日(日)に東京で行われた文学フリマにて入手した『翻訳編吟 11』を読みました。 編吟と書いて「ペンギン」と読むようです。著作権の切れた作品の翻訳を行っているサークルさんで、前々から気にはなっていたものの、購入は初です。 ホームページが…