好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

SF

藤井太洋『オーグメンテッド・スカイ』を読みました

オーグメンテッド・スカイ作者:藤井 太洋文藝春秋AmazonITエンジニアが主人公ではない藤井太洋の小説を、初めて読んだかもしれない。小説の舞台は、鹿児島県立南郷高等学校。この学校の理数科は全国から優秀な若者が集まってくるところで、中でも遠方から入…

藤井太洋『公正的戦闘規範』を読みました

公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)作者:藤井 太洋早川書房Amazonまだ読んでなかったんかーいと突っ込まれそうな2017年刊行の文庫ですが、ようやく読みました。藤井太洋初の短編集とのこと。でもこれ、表題作「公正的戦闘規範」の舞台は2024年なんですよ。つま…

なかむらあゆみ編『巣 徳島SFアンソロジー』を読みました

ayumishobo.base.shop 「そっとふみはずす」=「SF」がテーマと聞いて、発売前から楽しみにしていた徳島SFアンソロジーを読み終えました。Kaguya Books印ではあるものの、かぐやさんがこれまで刊行してきたSFアンソロジーとはまったく違う雰囲気であることが…

週末翻訳クラブ バベルうお『BABELZINE vol.3』と白川眞「ラビット・テストと中絶をめぐるSF」を読みました

babeluo.com2023年5月に発売されていた翻訳サークルバベルうおさんの『BABELZINE vol.3』を読みました。5月に東京で開催された文学フリマで新刊として出ていたのを知っていたのですが……出遅れて入手叶わず……11月の文学フリマ東京でようやっと手に入れること…

『中国女性SF作家アンソロジー 走る赤』を読みました

中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本)作者:中央公論新社Amazon2022年の春に中央公論新社から刊行された中国女性SF作家アンソロジーを、先日ようやく読みました。えっ、めっちゃ面白いんだけど、えっ! という嬉しい驚きに満ちたアンソロジーで、大満…

「かぐやフェス 2023」に行ってきました

virtualgorillaplus.com2023年11月18日(土)、京都にて開催された「Kaguya Planet」初のオフラインイベント「かぐやフェス 2023」に参加してきました。 「Kaguya Planet」はオンラインを軸足にSF小説やレビュー記事を公開したり、SF小説コンテストを開催した…

ねじれ双角錐群『よだつ』を読みました

nsoukakusuigun.booth.pm2023年11月11日(土)に行われた文学フリマ東京37にて入手した、文芸同人・ねじれ双角錐群によるアンソロジー『よだつ』を読みました。ねじれ双角錐群さんはテーマを掲げたアンソロジーをほぼ毎年刊行されていて、毎回楽しみにしていま…

相川英輔『黄金蝶を追って』を読みました

黄金蝶を追って (竹書房文庫 あ 13-1)作者:相川 英輔竹書房Amazon書店で見かけて買いました。きれいな表紙だな、というのに惹かれて手に取ったのですが、購入の決め手は裏表紙の帯です。この本に収められた短編のひとつ「ハミングバード」の書き出しが抜粋さ…

第三回かぐやSFコンテスト 最終候補作品を読みました

virtualgorillaplus.comかぐやSFコンテストは2000字~4000字の短編小説のコンテストで、第3回のテーマは「未来のスポーツ」でした。 最終候補作品は著者名を伏せられた状態で全文公開され、読者投票による読者賞が決定されます。また審査員によって選ばれる…

能仲謙次榛見あきる武見倉森揚羽はな菊地和広渡邉清文稲田一声『トランジ 死者と再会する物語』を読みました

2023年5月に開催された「文学フリマ東京36」にて購入したアンソロジー『トランジ 死者と再会する物語』を読みました。やべぇの読んでしまった、と慄いている。これだから文フリは……!同人誌なのでISBNはなく、2023/6/17現在では通販もしていないようです。参…

井上彼方 編『生物SFアンソロジー なまものの方舟/方舟のかおぶれ』を読みました

2023年5月に開催された「文学フリマ東京36」にて入手した生物SFアンソロジー『なまものの方舟/方舟のかおぶれ』を読みました。 編者は『新月』の編者でもある井上彼方さんなので、まず間違いなく私好みであることは信じていた。それに生物SFは好きなので、…

トマス・M・ディッシュ『SFの気恥ずかしさ』(浅倉久志・小島はな 訳)を読みました

SFの気恥ずかしさ作者:トマス・M・ディッシュ国書刊行会Amazonこのブログを書く前に、告白しておきますが、私、ディッシュの小説を読んだことがないです。 『いさましいちびのトースター』を名前だけ知っているけど、読んだことはないです。それでもこの本は…

春暮康一『法治の獣』を読みました

法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)作者:春暮康一早川書房Amazon去年から仲間うちで「『法治の獣』めっちゃ面白い」という話を何人もがしていて、ずっと気になっていながら読めていなかった一冊。知らない作家さんだなあと思っていたら、2019年にデビュー…

『RIKKA ZINE vol.1 SHIPPING』を読みました

rikka-zine.com2022年11月に東京で開催された文学フリマにて入手した国内外SF・ファンタジーのZINE『RIKKA ZINE』を読み終えました。 2010年代海外SF傑作選などを手掛ける橋本輝幸さん責任編集とあらば、きっと面白いに違いない!ということで迷わず入手した…

ねじれ双角錐群『故障かなと思ったら』を読みました

nsoukakusuigun.booth.pm2022年11月22日(日)に東京で行われた文学フリマにて入手した、文芸同人・ねじれ双角錐群によるSFアンソロジーです。 ねじれ双角錐群さんは以前の文学フリマで発売前から噂になっていた『来たるべき因習』を読んでから、毎回チェック…

映画『最後にして最初の人類』を観てきました

synca.jpヨハン・ヨハンソンの遺作だというので、何が何でもスクリーンで観ねばならん! と思い、直行直帰で行ってきました。壮大なサウンドノベルという感じで、非常に好みでした。万人受けではなさそうですが、私にはどストライクで、がっつりと心を鷲掴み…

橋本輝幸 編『2010年代海外SF傑作選』を読みました

2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン発売日: 2020/12/17メディア:…

橋本輝幸 編『2000年代海外SF傑作選』を読みました

2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ発売日: 2020/11/19メディア: 文庫2020年が…

ねじれ双角錐群『来たるべき因習』を読みました

https://nejiresoukakusuigun.tumblr.com/post/632304404947681280/%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E5%9B%A0%E7%BF%92-strange-festival-speculative-fictionnejiresoukakusuigun.tumblr.com2020年秋の文学フリマで手に入れた一冊を読み終え…

ラヴィ・ティドハー『金星は花に満ちて』を読みました

www.hal-con.net日本のSF界には、はるこんという行事があります。春に行われるコンベンションだから、はるこん。ゲスト・オブ・オナーとして海外作家を招いたり、ディーラーズルームで即売会をしたりというお祭り……なのですが、実は行ったことがありません。…

酉島伝法『るん(笑)』を読みました

るん(笑)作者:酉島 伝法発売日: 2020/11/26メディア: 単行本酉島伝法の新刊とあらば買わないわけがない。しかし言霊が強くてしんどかったので、休み休み読みました。 もともと酉島伝法の本はすらすら読めるものではないのだけれど、今回は特に、じりじりとに…

グローバルエリート『WORK マンモス大合成』を読みました

globalelite.black2020年は地球レベルでいろいろありましたが、私にとっては「初めて文フリに行った年」でもありました。文フリ=文学フリマ。ずっと気になってはいたのですが行ったことは無く、しかし今回売り子のお手伝いをする機会を得て遂にデビューしま…

『銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河』を読みました

銀河英雄伝説列伝1 (晴れあがる銀河) (創元SF文庫)作者:石持 浅海,太田 忠司,小川 一水,小前 亮,高島 雄哉,藤井 太洋発売日: 2020/10/30メディア: 文庫銀河英雄伝説(以下、銀英伝)の新刊が出ると知ったのはTwitter上でした。それは公式トリビュートであり…

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』を読みました

シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫)発売日: 2020/09/30メディア: 文庫シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテムの編集によるイスラエルSFアンソロジーの翻訳です。訳者は中村融、安野玲、市田泉、植草昌実、山岸真、山田順子。 …

石川宗生『ホテル・アルカディア』を読みました

ホテル・アルカディア作者:石川 宗生発売日: 2020/03/26メディア: 単行本『ベストSF 2020』に収められていた石川宗生の『恥辱』がめっちゃ好みだったので買いました。『恥辱』も入った短編集、なのですが、一冊で一つの世界を構成しています。すべてはプルデ…

立原透耶 編『時のきざはし 現代中華SF傑作選』を読みました

時のきざはし 現代中華SF傑作選作者:江波,何夕,糖匪,昼温,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,黄海,梁清散,凌晨,双翅目,韓松,吴霜,潘海天,飛氘,靚霊,滕野発売日: 2020/06/26メディア: 大型本 7月に出ていた中華SF傑作選をようやく読みました。 いやこれ何が凄いって、全17…

映画『TENET テネット』を観てきました

wwws.warnerbros.co.jp公開前からずっと気になっていたクリストファー・ノーラン監督の『TENET』をやっと観てきました。これは! 映画館で! 観る映画です!!とはいえノーラン監督作品は実はほとんど観ていなくて、前作『ダンケルク』が初鑑賞でした。『ダ…

大森望・編『ベストSF 2020』を読みました

べストSF2020 (竹書房文庫)発売日: 2020/07/30メディア: 文庫創元SF文庫から毎年刊行されていた『年刊日本SF傑作選』が2019年、全12巻で幕を閉じました。 そして本書が、その後継となるシリーズの第一巻です。ベストSFとして収められているのは日本SFの短編…

藤野可織『来世の記憶』を読みました

来世の記憶作者:藤野 可織発売日: 2020/07/10メディア: 単行本藤野可織は私の推し作家です。彼女の作品は読むたびにくらくらする。 書店の日本人作家の単行本コーナーは広すぎていつもほとんど新刊チェックできていなくて、この本が出ていたこともしばらく経…

小松左京『復活の日』を読みました

復活の日 (角川文庫)作者:小松 左京発売日: 2018/08/24メディア: 文庫コロナ禍をきっかけに再び世間で注目を浴びていた小松左京の『復活の日』を、とうとう読み終えました。5月に映画版を観て「面白かったー!」と叫んでいたら、小説も面白いから!と貸して…