好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

Newtonライト『三角関数のきほん』を読みました

コロナ禍により自宅で過ごす時間が否応なく増えたここ数か月。出かけるのは好きですが基本的にはインドアなので、家にいろと言われればそれはそれで楽しい。たっぷり時間がある!嬉しい!何しよう!!ということで、ことさら分厚い本を読んだり、これまで気になっていたあれこれに手を出して遊んでいました。
そして手を出したものの一つに高校数学があったのでした。

元はと言えば、機械学習のオンライン公開動画を観始めたのが始まりです。

ocw.tsukuba.ac.jp

筑波大学のオンライン公開動画の中に機械学習の講義があって、IT系労働者の端くれとして興味があったので、一通り観てみることにしました。最初はふんふんなるほどねーと思って割と理解できていたのですが、出てくる数式はどんどん難しくなっていって、解説が無ければ正直まったくわかりませんでした。中盤以降は解説があってもお手上げだった。シグマはやった記憶があるけど、ナブラなんて初めて聞いたぞ…

動画を観ていて思ったのが、数式というのは数字や記号を使って思考の道筋を表すものであるという点において言語(とくに「記述された言語」)の一種なのだな、ということ。
「これはペンです。」という文章によってこれがペンであるということを伝えるように、「1+1=2」という数式も 1 と 1 を足して 2 にしましたよ、という共通理解を示すものなんだろう。それなら数学の言葉をしっかり学べば、数式を理解することができるのだ。そしてそれは、数式で表現されたあれやこれやを理解することができるということ。数式にすることで初めて考え方が目に見える形になったものというのは結構な数ありそうなので、数式が読めれば見えるものが増えるということだ。理系も文系もたいして変わらないな。どちらも世界を広げる作業だ。

今更何言ってんのという感じではあるのですが、私が通っていた高校の数学の授業は入試対策講座という感じで、宿題になっていた問題の解法をひたすら確認するだけの時間でした。正直トラウマである。しかも私自身があまり興味が無かったものだから、自分から特に調べようとも思わなかった。なので未だにベクトルという概念が理解できていないし、微分積分もわかってない。でも今、とてもやりたい。なぜなら微分積分がわからないと線形代数にたどり着けなさそうだし、機械学習には線形代数の知識が必要だからです。

やりたいと思った時が学び時。そんなわけで、高校数学から始めることにしました。ちょうど某所で高校数学をやり直したい人たちがいたので、仲間に入れてもらって、毎週進捗を報告し合うという真面目ぶりです。オンラインで見つけた高校数学の問題集を使って、最初は数IAの、実数とか集合とか二次関数とか不等式とかから初めました。まぁこの辺りはまだ大丈夫。思い出せれば数式も解ける。解法も理解できる。

しかしです!三角関数の項目に入って、途端に理解が追い付かなくなったのでした。
サイン・コサイン・タンジェントというあの呪文のような三点セット、私はまずそこからして怪しい。名前は知ってるけど名前しか知らない。いや授業でやった記憶はあるんだけど、理解してなかった。私が解いているオンラインの問題集には、大事な公式は書いてあるのですが、なぜそうなるのかの説明がなかった。
そこでちょうどコロナ禍も落ち着いてきて図書館が使えるようになったので、いそいそと予約して借りてきたのが『三角関数のきほん』です。信頼のNewton、ビジュアルベースでとても分かりやすかった。

問題集を解いていてどう頑張ってもわからなかった鈍角の三角関数についても、やっと理解できました。円で考えるのね、そういうことね…。この二週間ほど、毎日三角形を書いて頑張っていました。やっと頭になじんできた感じ。

ちなみに勉強していて気が付いたのですが、高校生のときの私は関数というものの概念を理解してなかったようです。サインというのは対辺を斜辺で割った数値である、というのは「あらゆるところで使うからこういう決め事しといたよ、よろしく」ということで、突き詰めればその関数自体が何かの意味を持っているわけではないんですよね。関数ってそういうものだ。見慣れないから変な気分になるだけだ。一方で余弦定理や正弦定理はサインコサインタンジェントの決め事から変形して導き出せるものなので、これらがこの形であることには理由がある。この違いを、高校生の頃の私は多分理解してなかった。

高校数学は引き続き頑張る所存です。数学の言葉を学べば、数式を見た時にそれが何を表現しているのかを理解できるようになる。そうしたら私の世界はさらに広がることでしょう。うん、楽しみだ。