好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

ウィル・ハント『地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史』(棚橋志行 訳)を読みました

地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-12)作者:ウィル・ハント発売日: 2020/08/26メディア: 単行本いつもノンフィクションが面白い亜紀書房から刊行された本で、本屋に並んだ頃から絶対好きなやつでしょこ…

映画『アウステルリッツ』を観てきました

www.sunny-film.comセルゲイ・ロズニツァ監督のドキュメンタリー映画三選<群衆>、最後に残していた『アウステルリッツ』をついに観てきました。 <群衆>のうち、『国葬』と『粛清裁判』はソ連のスターリンに関するアーカイヴァル映画ですが、『アウステル…

田中美穂 編『胞子文学名作選』を読みました

胞子文学名作選作者:田中 美穂発売日: 2013/09/20メディア: 単行本やばい本を手に入れてしまった。実は先日、倉敷に行ってきました。一人旅で、唐突に思い立って。 旅行には当然本を持っていくわけですが、この旅行では手持ちの本が思った以上に進んでしまっ…

映画『粛清裁判』を観てきました

www.sunny-film.comセルゲイ・ロズニツァ監督のドキュメンタリー映画三作が、<群衆>と題して公開されています。そのうちの一つ、『粛清裁判』(2018)を観てきました。 先日『国葬』(2019)の感想をアップしましたが、同じくソビエト連邦のスターリン時代の話…

石川宗生『ホテル・アルカディア』を読みました

ホテル・アルカディア作者:石川 宗生発売日: 2020/03/26メディア: 単行本『ベストSF 2020』に収められていた石川宗生の『恥辱』がめっちゃ好みだったので買いました。『恥辱』も入った短編集、なのですが、一冊で一つの世界を構成しています。すべてはプルデ…

松本清張『昭和史発掘 9』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』9巻を読み終わりました。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無しとなっています。7巻からずっと二・二六事件に向かって突き進んでいってるのですが、ついに9巻で昭和11(19…

映画『国葬』を観てきました

www.sunny-film.com『セルゲイ・ロズニツァ<群衆>ドキュメンタリー3選』と銘打たれた3作品のひとつ、『国葬』を観てきました。3選の他の2つは『粛清裁判』と『アウステルリッツ』ですが、こちらは未鑑賞。 セルゲイ・ロズニツァという名前は全然知らなかっ…

W・G・ゼーバルト『目眩まし』(鈴木仁子 訳)を読みました

目眩まし[新装版] (ゼーバルト・コレクション)作者:W・G・ゼーバルト発売日: 2020/06/16メディア: 単行本読んでしまった。ゼーバルトの新装版4冊のうちの、3冊目です。残り1冊しか残っていない。ゼーバルトはもう他界してしまったし、あと1冊を読み終えたら…

「2022年の『ユリシーズ』」の読書会(第八回:第八挿話)に参加しました

www.stephens-workshop.com10/25にzoomにてオンライン開催された「2022年の『ユリシーズ』」の読書会に参加しました。 この読書会は『ユリシーズ』刊行100周年である2022年まで、3年かけて『ユリシーズ』を読んでいこうという壮大な企画で、ジェイムズ・ジョ…

五島一浩「画家の不在」展に行ってきました

www.goshiman.com日比谷の図書館でポスターを見かけたので、気になって行ってきました。会場は廃校をアートスペースにリノベーションした3331 Arts Chiyodaです。場所はだいたい、湯島駅と末広町駅の間らへん。 初めて行きましたが、教室ごとにいろんな展示…

立原透耶 編『時のきざはし 現代中華SF傑作選』を読みました

時のきざはし 現代中華SF傑作選作者:江波,何夕,糖匪,昼温,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,黄海,梁清散,凌晨,双翅目,韓松,吴霜,潘海天,飛氘,靚霊,滕野発売日: 2020/06/26メディア: 大型本 7月に出ていた中華SF傑作選をようやく読みました。 いやこれ何が凄いって、全17…

そごう美術館「超絶技巧を越えて 吉村芳生展」に行ってきました

www.sogo-seibu.jpアクセスの良さからしばしば足を運ぶ横浜のそごう美術館に、今回も行ってきました。吉村芳生の展覧会です。 実は展覧会に行くまで、吉村芳生のことは知りませんでした。ポスターに出ていた精密な鉛筆画に惹かれて観に行ったのですが、いい…

成川美術館に行ってきました

www.narukawamuseum.co.jp元箱根・芦ノ湖二日目はホテル近くの箱根神社にお参りしてから、芦ノ湖湖畔の高台に位置する現代日本画の美術館・成川美術館に行ってきました。(一日目の記事はこちら) 初めて来館しましたが、落ち着いた雰囲気でスタッフの方もみ…

元箱根・芦ノ湖に行ってきました

久々の旅行記です。 うちの勤め先は夏休みをある程度自由に取れるので、だいたい毎年バカンスと称して有休とくっつけて一週間くらいもぎ取り、海外へ逃亡するのですが……2020年は皆さんご存知のアレの影響で国境を越えられず。 しかしバカンスは一週間必要な…

松本清張『昭和史発掘 8』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』も8巻となりました。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無しとなっています。7巻に続き、8巻も2本立てでした。二・二六事件 二 「相沢公判」 「北、西田と青年将校運動」…

濱野ちひろ『聖なるズー』を読みました

聖なるズー作者:濱野 ちひろ発売日: 2019/11/26メディア: 単行本面白いよ、と言われて貸してもらった本なのですが、思っていた以上に面白くて一気に読んでしまった。好みが把握されているのだろうか……この本は、DV被害に遭った過去をもつ著者が大学院の研究…

パナソニック汐留美術館「分離派建築会100年展」に行ってきました

panasonic.co.jp近代建築好きとして気になったので行ってきました。パナソニック汐留美術館は私好みの展覧会を開催することが多いので、よく行く美術館のひとつです。予約は不要ですが、混んでくると入場制限をするらしいので平日に行ったら、いい感じに空い…

ローラン・ビネ『言語の七番目の機能』(高橋啓 訳)を読みました

言語の七番目の機能 (海外文学セレクション)作者:ローラン・ビネ発売日: 2020/09/24メディア: 単行本この本の刊行予定が噂された半年ほど前からずっと待っていました。ローラン・ビネの新刊です。嬉しい! ありがとうございます! 前作『HHhH』を読んでから…

映画『異端の鳥』を観てきました

www.transformer.co.jpSFマガジン6月号で紹介されていたのを読んでからずっと公開を待っていた『異端の鳥』、ようやく公開されたので行ってきました。非常に良い映画だったので観て良かったけれど、万人受けする映画ではないのでなんともお勧めし難いところ…

東京国立博物館「工藝2020 自然と美のかたち」に行ってきました

tsumugu.yomiuri.co.jpものっっすごく久々の東博に行ってきました。事前予約制になっていて、週末でもゆったり観られるのは嬉しい。到着時刻が読めなかったので直前に予約したのですが、割と枠が空いていました。現役で活動中の方々の作品が一堂に会すると聞…

梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』を読みました

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)作者:懐, 梶谷,康太, 高口発売日: 2019/08/10メディア: 新書2019年8月に刊行された新書です。某所のビブリオバトルで紹介されて知り、ずっと読みたかったのですがいろいろあってこんな時期になってしまった。コロナ禍前の…

映画『TENET テネット』を観てきました

wwws.warnerbros.co.jp公開前からずっと気になっていたクリストファー・ノーラン監督の『TENET』をやっと観てきました。これは! 映画館で! 観る映画です!!とはいえノーラン監督作品は実はほとんど観ていなくて、前作『ダンケルク』が初鑑賞でした。『ダ…

大森望・編『ベストSF 2020』を読みました

べストSF2020 (竹書房文庫)発売日: 2020/07/30メディア: 文庫創元SF文庫から毎年刊行されていた『年刊日本SF傑作選』が2019年、全12巻で幕を閉じました。 そして本書が、その後継となるシリーズの第一巻です。ベストSFとして収められているのは日本SFの短編…

グカ・ハン『砂漠が街に入りこんだ日』(原正人 訳)を読みました

砂漠が街に入りこんだ日作者:グカ・ハン発売日: 2020/08/01メディア: 単行本『82年生まれ、キム・ジヨン』のヒット後、日本でも現代韓国作家の本が次々と刊行されるようになりました。が、なんとなく読むタイミングを逸し続けていて、読まずにここまで来てし…

柴崎友香『百年と一日』を読みました

百年と一日 (単行本)作者:柴崎 友香発売日: 2020/07/14メディア: 単行本 10代の頃、「いまここ」で考えていることがすべて流れ去って消えていってしまうのがとても恐ろしかったのを覚えている。根が貧乏性なので、少しでも何か残しておきたくて色々書き残し…

藤野可織『来世の記憶』を読みました

来世の記憶作者:藤野 可織発売日: 2020/07/10メディア: 単行本藤野可織は私の推し作家です。彼女の作品は読むたびにくらくらする。 書店の日本人作家の単行本コーナーは広すぎていつもほとんど新刊チェックできていなくて、この本が出ていたこともしばらく経…

ディディエ・エリボン『ランスへの帰郷』を読みました

ランスへの帰郷作者:ディディエ・エリボン発売日: 2020/05/03メディア: 単行本初めにこの本を知ったのは日経新聞朝刊の書評欄でした。誰が書いていた書評だったかは覚えてないんですが、気になってスマホの読みたい本リストにメモしておいた。 そしてその後…

そごう美術館「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」に行ってきました

www.artkarte.art2019年5月のいわさきちひろ美術館を皮切りに各地を巡回していたショーン・タンの展覧会がついに横浜のそごう美術館にも来ました。開幕当初から盛り上がっていたのは知っていたのですが、いろいろあって行きそびれていたので、いそいそと観に…

文楽「鑓の権三重帷子」を観てきました

www.ntj.jac.go.jp久々の文楽公演に行ってきました。再開してくれてよかった! コロナ対応で1席ずつ空けての座席設定となっていて、舞台が見やすくてありがたかった。そして以前なら一日に二部か三部でやるものを四部にわけて、一部ごとの公演時間が短くなり…

松本清張『昭和史発掘 7』を読みました

父親のお下がりの文春文庫の古い版で読んでいる『昭和史発掘』、いよいよ7巻です。 ISBNがついていなくて、新版は収録内容が違うのでリンクは無しとなっています。 前の巻からずっと二・二六事件の単語がちらついているのですが、この巻でもまだその日にはた…