好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

文学フリマ東京38に行ってきました

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文学フリマに遊びに行ってたくさんお買い物をし、大変刺激を貰ったのち、そういえば最近ブログの更新ができてないなと思ったら最終更新が2月で止まっていることに愕然としました。ので、熱い気持ちのうちに更新しておきます。もちろんまだほぼ読んでいないので、ひとまず「何を買ったか」「なぜ買ったのか」を記録しておくことにいたします。出品された方々、文学フリマ興味あるけど行ったことない方の参考になれば幸いです。

我が家の本棚に新たにやってきた仲間たちは以下のとおり。記載はブース番号順としています。

D-01「裸眼無加工大学」さんにて『花を刺すーエレガント・エディションー』
大木さんの小説が好きなので、事前に調べて買いに行きました。特典の回文カードが可愛くて嬉しい。一日一編ずつとかで、大事に読ませていただこう。
華やかで素敵な挿画だと思ったら谷脇栗太さんでした。黄色と紺のアクセントが美しい。


J-07「慶應SF研究会」さんにて『Horizm-46』『Horizm-47【宗教とSF】』
想定外のお買い物。宗教は興味のあるテーマなので、特集組まれると素通りできない。早速「架空宗教フローチャート」をやってみたら、「何も変えない神の教会」でした。未読だー。
ちなみに『Horizm-46』は2023年の刊行。マルチバース特集でこっちも好きなテーマなのであわせて購入しました。
Horizm自体初めてなので、どんな雰囲気なのか読むのが楽しみです。


J-10「大阪大学SF研究会」さんにて『OUSF VOL.26 信仰SF』
2023年秋の文学フリマ東京からずっと気になっていた一冊だったため購入。
前に阪大の生物SF特集も買ったことがあるんですが、今回はずいぶんと分厚いな…?と思ったら、分厚いのがイレギュラーらしい。表紙も凝ってていいなぁ。どんどんやってください(編集の負荷を考えない無責任な発言)。
宗教ではなく信仰というのがポイントで、うまいテーマ設定だと思う。


Z-43/44「代わりに読む人」さんにて『試行錯誤1』『試行錯誤2』
もともと『代わりに読む人』が好きで(創刊号感想記事)、通りかかって偶然出店されていることを知った。気づけてよかった!
陳詩遠さんのエッセイがとても好きなんですが、帰りの電車で『試行錯誤1』をうっかり読んだら笑いをこらえるのに苦労しました。
わかしょ文庫さんの「大相撲観戦記」も、自分は相撲は全然わからないのですが、それでも味わい深く感じる川柳があるものだなというのが面白かったです。「大晦日曙vs.ボブ・サップ」の音の良さよ…!


え-22「ふざけた黒猫」さんにて『野球SF傑作選 ベストナイン2024』
もともと買うつもりでいた一冊です。本屋で買おうかなと思っていたのですが、ブースに置いてあったので購入。なお私は虎ファンです。しかし豪華なベストナインだ!
ちなみに「VGプラス スタンプラリー」にも参加させていただき、特典ペーパーとおぼろんカードもゲットしました。バゴプラの名前の由来秘話がとても面白かった。クールだなぁ!


え-25「人間超脱阿片窟」さんにて『散裂 Destraction Vol.03』
前回の文学フリマであまりの尖がり具合にベタ惚れしてしまったサークルさん。新刊が出ていたのでもちろん購入。なお前回の文フリでは、売り切れを惜しんでサンプル本を買い取るという強硬手段に出て誠に申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
今回はぱらっとめくっただけでもだいぶ読みやすくなった感がありました。表紙が毎回格好いいんですよ……。


え-26「はすかい眞」さんにて『木漏れ日は揺りかご』
通りがかりに表紙の可愛さに惹かれて立ち止まりました。きのこ! 宇宙コロニーの話のようで、小さいしお値段もお手頃だしで、気になって購入。表紙のイラストを使ったしおりと、「電柱望遠鏡」という掌編を載せた小冊子をつけてくれました。
表紙があまりに好みだったので(きのこ!)、表紙可愛いですねと言ったら、売り子さんが表紙を描いた方でした。しおりがほんと可愛い…(きのこ!)


え-30「街角幻想譚」さんにて『CATEGORY ERROR』
たまたま通りかかって、SFぽかったのでちょっと立ち読み。サークル名のところに「TRPG」とあったのでルールブックかな?と思ったら、長編小説でした。
初めて製本されたとのことで、背表紙にタイトルが無かったりページ数が印刷されてなかったりするのをネタにして話をしてくれたのが面白かったのと、ライトなSFではないのを気にして「好みがわかれるかも……大丈夫ですか?ちょっとお値段も高いですが……」と喧嘩売ってくる(褒めてます)のが面白かったので購入。変な小説は好物です、遠慮なくどんどんやってください!


え-41「ふわふわでとてもえらい」さんにて『毒についての話』『猫についての話』
『毒についての話』は気になる作家さんが何人か寄稿しているのをTwitterで見かけていたため、もともと買うつもりでした。林譲治さんがごく自然に混じっていて素敵。そして表紙がいいなぁ。
『猫についての話』は新刊として売り出していた文フリで売り切れになってしまい未入手だったので、あわせて購入。手に入って嬉しい!
それぞれ「致死量」「猫の生存率」が気になるけど、公式の基準をどこまで信じていいのでしょうか……。


え-56「グローバルエリート」さんにて『テーマアンソロジー STATEMENT FOR GAZA』
最近文学フリマで見かけず寂しい思いをしていたのですが、格好いい再登場っぷりに絶対買うつもりでおりました。完売おめでとうございます!
四作品のアンソロジー、売り上げは全額寄付とのこと。序文に痺れる。
ちなみに私自身は毎月某NPOに寄付をしているのですが、月々の寄付は個人としての活動というだけです(無意味ではないが)。でも創作物で自身の思想を表明すると、そこから伝播して行動の波が広がる可能性が生まれるということに改めて思い至り、当たり前ではあるものの全く意味の違う活動なんだなというのを感じました。
行動するというのは誰にでもできることではないので、尊敬します。とても刺激されました。


え-59「バゴプラ ライターズ」さんにて『KAGUYA Planet No.1』
Kaguya Booksファンなので、創刊を知った時からもちろん買うつもりでおりました。私は電子で小説読むのが苦手なので、紙で読めるマガジンの刊行は非常にありがたいです! 創刊ありがとうございます!
なお私はSF文学振興会所属なので購入はしませんでしたが、同ブースにて販売されていた『SFG 2023_Vol.06』も近日中にBOOTHで通販されるはず。私もブックレビューをいくつか書いております。よろしくお願いします。


せ-41「やんぐはうす-ヴァースノベル研究部会」さんにて『改行 the new line 2024』
Twitterで情報が流れてきており、新しいもの好きとして気になっていたので買いに行きました。ブースがあったのは「現代詩・散文詩」のゾーン。寄稿者はSF作家として活動している方が多かったですが、多ジャンルへの挑戦、とても好ましいです。
ヴァース・ノベルとは何ぞや?という解説を、冒頭ではなく巻末に載せているのも良かった。詩というジャンルは、韻を踏めだの暗喩を込めろだの様々な制約があるように見えて、実は一番自由なジャンルなのかもしれないと思い、ここ数年注目しています。(「英詩研究会」というチャレンジングな場に参加した経験も一役買っている)
とても面白そうである一方、たぶん今日買った本の中で一番読むのに時間がかかると思う。楽しみ。


つ-07「ffeen pub」さんにて『小説紊乱』
何だこの豪華な作家陣は!と思って、通りがかりで迷わず購入。三十作も入っている。嬉しい!
表紙の挿画がめちゃくちゃいいじゃないですか……樋口絢女さんの作品とのこと。めちゃちゃいいし、表紙の冊子名「紊乱」のデザインも不穏でいい。
安定しようとする世界にぜひ波風を立ててください。文学フリマはこういう挑戦的なテイストの冊子に出会えるから好きだ。


つ-10「V&R BOOKS/鴨川エッチ研究会」さんにて『ドンキー・アーカイヴ 第二回配本』『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー
『ドンキー・アーカイヴ』は稲田一声さんの創元SF短編賞受賞記念企画とのことで、頒布を知ったときから購入予定でした。『エッチな小説を読ませてもらいま賞』に負けないキラキラ具合。稲田さんおめでとうございます!
『沈んだ名』は故郷喪失アンソロジーというテーマで公募をされているときから気になっており、実際に内容をチラ見して購入を決めました。まえがきの「本書の方針として、まずは故郷を喪失したと感じている方々の語りを掲載したかった」「語るということは特権的な行為である」という言葉が素晴らしい。読むのが楽しみです。


以上、我が家の本棚の新たな仲間たちでした。製作者の皆様、ときめきとワクワクをありがとうございます。これから大事に読み進めていきます。
今回の文学フリマでは売り子をしなかったので純粋に買い物を楽しめたのは良かったのですが、あまりご挨拶もできず、人混みに負けて新規開拓もあまりできず、という後悔もあります。次回は会場が広くなるから人口密度が下がるのかな…運営は大変でしょうけども。

まずはお疲れさまでした。次回も楽しみにしています!