好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

2022年回顧

気づいたら大晦日だった。
2022年はこれまでの人生で一番仕事が忙しい年だった。なんかずっと働いていた。なんなら夢の中でも仕事していた。もうやってられーん!転職してやる!と騒いでいた時期もありましたが、いろいろあって今のタイミングでは諦めました。だが来年はもうこんなに働かないぞ!ちゃんと休日に遊ぶ体力を取っておくぞ!

そんな一年だったので本を読んだり映画を観たり美術館に行ったり、というのがほとんどできない一年でした。なんていうか、心の余裕がなかった。精神の中で仕事が占める割合が肥大化して、趣味のことに心を割くことができなかった。これじゃいかん。これじゃなんのために生きているんだかわからない。
全く何も読まなかったわけではないのですが、読書メーターの記録によれば55冊しか読んでおらず、うひゃー、やっぱり数字でみるとかなり少ないな。だいたい私は年間100冊くらいは読むし。とはいえ文学フリマで入手した同人誌読んだり、スマホゲームのストーリー読んだりはしているので、物語自体は接種していると思うのだけど。しかし少ないな。来年はもっと読んでいこうと思います。

少ない中でのベストは以下。母数の少なさを考慮してベスト3までにしておく、けど、でも部門で分けてみる。


【フィクション・長編部門】
1. アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(小野田和子・訳)
2. スザンナ・クラーク『ピラネージ』(原島文世・訳)
3. グレッグ・イーガン『シルトの梯子』(山岸真・訳)

そもそもあまり長編を読んでいなかった。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、やばかった……ひさしぶりに一気読みした長編小説でした。
『ピラネージ』は舞台設定がめちゃくちゃ好みで美しかった。
『シルトの梯子』は仲間内の課題図書だったので読んだのですが、とても好みだった。これまで読んだイーガンで一番好きかも。
ちなみに次点は『ボートの三人男』はちまちま笑いながら読んでました。気晴らしに最適。さらに次点は『銀河ヒッチハイク・ガイド』です。こっちも気晴らしに最適。あと『偶然の聖地』や『時の他に敵なし』などを読みました。『悪霊』も読んでるんですが、年を越してしまった。


【フィクション・短篇部門】
1. 川野芽生『月面文字翻刻一例』
2. 柞刈湯葉『まず牛を球とします。』
3. 谷崎由依『鏡のなかのアジア』

振り返ったら2022年は短篇集ばかり読んでいて、かなりの激戦でした。「この短篇が」というのではなく、書籍単位の選出となっています。
『月面文字翻刻一例』は一冊全体が純度の高い宝石みたいな本で、掌編ひとつでも言葉の濃度が、質量がすごい。めちゃくちゃ好きです。
『まず牛を球とします。』は久しぶりに買った柞刈湯葉でしたが、さらっとドライで好みです。なんども笑った。
『鏡のなかのアジア』は積んでたやつをようやく読んだのですが、はい私の好きなやつー!という感じでどストライクの好みでした。
ほかに『ヴィリコニウム』『リャマサーレス短篇集』『家出の道筋』『兎の島』『SFアンソロジー新月』などを読んでました。


【ノンフィクション部門】
1. 高村友也『存在消滅: 死の恐怖をめぐる哲学エッセイ』
2. 『私たちはどのような世界を想像すべきか: 東京大学 教養のフロンティア講義』
3. ロジェ・グルニエ『写真の秘密』(宮下志朗・訳)

ノンフィクション、もうちょっと読んでいるかと思っていたけど、あまり読んでいなかった。
『存在消滅』は思わずブログに戻ってきて感想書き殴ったくらいに響いたエッセイ。
『私たちはどのような世界を想像すべきか』は30年後の世界を想定した講義本で、めちゃくちゃ面白かった。もっと売れてほしいなぁ。
『写真の秘密』はもう宮下訳のグルニエってだけで私の心を癒やす。
他には現代思想9月号のメタバース特集とか、ビジネス本とかを読んでいました。読みかけのもいくつかあり…ベルクソン本は積んだまままだ読み終えられていない。どこかで時間作って一気に読みたい。



ちなみに映画部門もやりたかったのですが、ほんと全然観てないし記録もできてないので母数が不明だしで諦めました。
アマプラで観て面白かったのは『パンズ・ラビリンス』で、ダンサー・イン・ザ・ダークが好きならいけそう、という暗さ。よく作り込まれていてすごいな、と思って調べたらギレルモ・デル・トロ監督だった。これが!噂の!他の作品も観なくちゃなって思ってます。


ひとまず2022年はここまで。来年は全力で遊ぶ。