好物日記

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静嘉堂文庫美術館『初春を祝う ―七福うさぎがやってくる!』に行ってきました

www.seikado.or.jp

2022年はほとんど美術館・博物館に行けなかったことを非常に反省しておりまして、2023年はスケジュールチェックして行きたいやつは全部行くことに決めた。
そんなわけで展覧会情報を眺めてスケジュールを練っていた時に静嘉堂文庫美術館の情報を見つけ、2023年度初の美術館として行ってきました。

静嘉堂文庫美術館、いつの間にか丸の内移転完了していたんですね。以前世田谷で開館していたときも行ったことはあるのですが、駅から少し歩く場所にあって交通の便に難ありだったので、あまり頻繁には行っていませんでした。もともと保管場所としての文庫の傍らでの展示室だったので文句は言えないのですが、丸の内に来てくれてアクセスしやすくなったのは非常にありがたい。休日昼過ぎに行きましたが、アクセスの良さもあってか、それなりの人数が来場していました。
会場に入ると真ん中に大きなホワイエがあって、それを取り囲む小さな部屋が展示室になっています。ホワイエにはベンチが複数置かれていて座って休むことができる。展覧会の紹介画像がホワイエの片隅で流れていて、それを観ることもできる。展示室自体はそこまで広くなく、こじんまりとした感じ。同じ岩崎家の美術館なら、日本橋三井記念美術館のほうが広いですね。天井は高くて吹き抜けになっていて、2階の外廊下?キャットウォーク?が見えていたけど、昇ることはできませんでした。全体的に瀟洒な雰囲気。

開催中の展覧会は「初春を祝う ―七福うさぎがやってくる!」というタイトルで、卯年生まれの岩崎小彌太の還暦祝いに作られた御所人形が展示の目玉。御所人形というのはお祝いの席で飾られる子どもの人形だそうで、木彫りで白塗りで三頭身の人形にきれいな着物を着せて飾るらしい。展示会では還暦祝いの食事会の席で、宝船と鯛車を曳いて行列を作る御所人形の一行が長テーブルの真ん中に飾られた集合写真が展示されていました。桃の節句にお雛様飾ったり、端午の節句五月人形飾ったりするような感じ? 還暦のお祝いだから、という理由で職人に新しく作らせる(発注者は小彌太の奥様)ところが岩崎家だなぁ。そうやってお金使って文化守ってくれるのは富豪の義務の一つだと思う。ありがたや。

今回の展示品の中で特に好きだったのは「南天蒔絵提重」と「四季山水蒔絵炉縁」。ええ、蒔絵が好きなのです。
南天蒔絵提重」は外で食事をするときのピクニックセットのようなもので、お重に銘々皿、盃、飲み物(多分お酒)を入れた筒などを直方体になるようコンパクトにまとめたやつです。いいなぁ、こんなの使って物見遊山とかしてみたいなぁ。蒔絵で飾られてなくていいから。でも漆塗りではあってほしいかな。
「四季山水蒔絵炉縁」は「波兎文撫肩平釜」と一緒に展示されていたもので、文字通り四季の風景が蒔絵で装飾されたもの。茶道はしないんですが、茶道の道具は好き。山水図は良い。
他にも猩々の根付とかホワイエに飾られていた有田焼とかも好きでした。有田焼はすごく大きくて結構な時間をかけて見惚れてしまった。酒井抱一の絵手鑑も良かったな。

静嘉堂文庫美術館、今後も面白そうな展示があればお邪魔しようと思います。酒井抱一と原羊遊斎の蒔絵を展示してほしいです。