好物日記

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映画『ダウントン・アビー』を観てきました

downtonabbey-movie.jp

ドラマシリーズを一秒も観たことがないくせに、映画版を観に行ってきました。予告編を観たときに「あ、これ好きそうなやつ」と思ったので。そしてその予感通り、好きなやつでした!お屋敷の内装や調度品が美しくて見惚れる。あと一癖も二癖もある女性陣がとても魅力的でした。ファッションもおしゃれだ。

ドラマを観ていない人のために、映画が始まる前にパットモア夫人が簡単な登場人物紹介をしてくれたのが非常に助かりました。なんの予習もしていなかったので。より細かい人間関係の部分は観ながら把握することになりましたが、映画だけで結構楽しめました。でもこれドラマシリーズ観ていたら余計に楽しいんだろうなぁ…いずれドラマも観てみたい。海外ドラマに限らず、続きものの映像作品は時間を取られるのが嫌で、なるべく近寄らないようにしているのですが…

映画の冒頭部分がわくわく感を掻き立てる演出で非常に良かったです。バッキンガム宮殿から送られた一通の手紙がダウントン・アビーを混乱の渦に巻き込むことになるわけですが、英国って実在の国王を遠慮なくストーリーに駆り出してくるところがすごいなと思う。ロイヤルファミリーへの愛があるのはよくわかるのですが、でもやっぱりすごいなと思う。時代設定が1927年だったのでジョージ5世なのですが、そんなのついこの間じゃないか。しかも割と気が利かない雰囲気で描かれていたりして、文化の違いを感じました。
いやこれまでも『英国王のスピーチ』とか、ロイヤルファミリーをメインに据えるような映画を観たことはありますが、あれは伝記映画みたいなものだったし、あまり気にならなかったのでした。ただ今回は結構がっつり出てくるし、短所もしっかり描いているし、全然遠慮しないところが印象的。日本の映画で皇族が映画に出てくることは無くはないけど、作り手がやっぱりかなり遠慮しているように感じる。
ちなみにこれは歴史と文化の違いなので、どっちが良いとか正しいとか言いたいのではなくて、単純にここまで違うの面白いなぁという話です。日本では徳川将軍ならばんばん出すし、戦国武将もエンタメでかなり消費されている。一方、時代劇や大河ドラマでかなり昔の天皇ならそれなりに扱えるみたいだけど、明治以降の天皇はあまり見ない印象。やっぱりキャラクタとして落とし込むほど客観視するのはまだ難しいんだろうな、という、その違いがすごく興味深い。

などと考えてちょっと調べていたら、『ダウントン・アビー』のシリーズ自体が実際の歴史的事件とリンクしていることを知った。それはかなり面白い作品になりそうな演出だ。アイルランドの独立の話は映画版でも絡んできたけれど、近代英国史まで学べてしまうのですね!第一次世界大戦第二次世界大戦の合間の時代という時代設定がすごく良い。

そんなこんなで映画版『ダウントン・アビー』、面白かったです。
以下はネタバレになるので隠しておきますが、全体的にきゃあきゃあ言ってるだけです。


トムが!!!格好良くて!!!
ドラマ観てないのでイマイチ立ち位置がわからなかったのですが、アイルランド出身で反王室派のトム。英国王妃付き侍女のメイドであるルーシーといい感じになっていくわけですが、奥さんが亡くなっているのを理解するのに結構時間がかかったので、わかったときにはかなり安心しました。そういうドロドロじゃないなら良かった!幸せになれ!
英国王家に対する確執はあるけど家族は大事だし法は守るよ、というスタンスがとても良い。自分に接触してきた男の企みを察した後の行動とか、めちゃくちゃいい男ではないか。舞踏会に少しだけ姿を見せたルーシーの手を取ってキスするときに、目線絶対下げないのなんなの!ずるいよ!あんなの惚れるに決まってるじゃん!!
ていうか今回の映画版は全体的にトム回でしたね。いい所が多かった。ほかの男性陣はあまり見せ場がなかったのですが、多分ドラマを観たらそれぞれ格好いいのでしょう。しかしバロー君、銀器は磨いておいた方がいいと思うよ。

あとおばあさまと王妃付き侍女モードの確執も良かったです。というかおばあさま、マギー・スミスだったんですね!お元気そうで何より。バイオレットVSイザベルの場面のたびにニヤニヤして観ていました。全体的にこの映画は気の強い女性が多くて実に楽しかったです。

王家付の使用人たちがいけ好かないのは話の構成上そうなるよねって感じなのですが、衣装係の手癖の悪さとその対処があまりにも雑で、そこだけどうしても気になりました。行く先々であんなにおいたしてたら、さすがに気付くだろう…。

気になってネットでドラマ版のほうの情報収集をしたところ、AmazonプライムやHuluなんかで観られるようなので、時間ができたら観てみようと思います。