好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

台北の温泉地・北投に行ってきました

台北に行った折、北投(ベイトウ)という温泉地を訪れました。温泉は入らなかったのですが、湯気の立つ源泉を見たり、土産物屋で温泉の素を見つけたり(買わなかった)と楽しみました。せっかくなので、写真とともに楽しかった気持ちのおすそ分けを。

ちなみに今回の台湾旅は、SF文学振興会の遠征イベントでした。台北駅集合という異例の企画。私は前乗りしていつもの如く一人で故宮博物院などでぶらぶら遊んでいましたが、この日は珍しく道連れがいました。

www.2012sfstart.jp

さて今回の舞台である北投、観光地としてはマイナーなようで私もこれまでまったくのノーチェックだったのですが、とても良いところでした。地理的には台北駅の北に位置しており、多少遠くはありますがアクセスはわかりやすく訪れやすいです。台北駅からMRT淡水信義線に乗って北投駅へ、そこから新北投支線に乗り換えて新北投駅で下車。台北駅近辺ではわりと耳にする日本語もほとんど聞こえず、郊外の町という雰囲気です。駅から歩いてすぐに大きな噴水のある公園があって、東屋で地元のおっちゃんが碁盤を囲んでいました。あれは何か、賭けてたな。

今回の旅の目的のひとつは、台北市立図書館北投分館です。木造のスローライフっぽい建物で、非常にいい雰囲気です。私学の図書館のようなハイソな感じなのに、これが公共施設か…!学生さんらしき人が勉強しているのは日本と同じですね。窓の外にはバルコニーがあって、風そよぐ中で読書を楽しむこともできます。窓も大きく日当りもよく、蔵書数もたっぷりで居心地よさそうでした。通いたい…

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台北市立図書館北投分館

図書館でまったりした後は、日本統治時代のものと思われる隣の建物に突撃。今は北投温泉博物館でした。もともと公共浴場だったのを修復して博物館になっているとのこと。古い大浴場の跡や、日本統治時代にリゾート地として名を馳せた記録などが見学できます。

めちゃくちゃテンションが上がったのは、ここで陶芸家の彭春榮さんの展覧会が開催されていたことです。全然知らない陶芸家さんだったのですが、伝統楽器・月琴の形をした土台に船を浮かべたり山を描いたりした作品を展示されていて、作品のタイプが非常に好みでした。ほかの作品も見てみたいなぁ。日本に来ないかなぁ。

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彭春榮さんによる、月琴を模した陶芸作品

博物館の後は、ランチタイムを挟んで散歩しながら源泉へ。立ち上る湯気と硫黄のにおいは温泉地ならでは。同行者のひとりは昼食に入ったお店で温泉卵を頼んでいましたが、それは日本からの輸入文化なのか、あるいは日本の温泉卵が大陸からの輸入なのか。しかし定番の温泉卵があるなら、湯の花も売っているに違いないと思って土産物屋を物色し、やっぱり!と見つけましたが、いいお値段だったので購入は見送りました。温泉まんじゅうはなかった。
日本人が伊豆を模して都市開発をしたとのことで、旅館の名前も熱海だの京都だのとやたら日本チックで面白かったです。次はあの近辺の温泉宿に泊ってみても楽しそうだな。日帰りの温泉もあるにはあったのですが、水着を着て入るスタイルになっており、手ぶらの我々はスルーしました。

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北投温泉の源泉から立ち上る湯気。

駅の近くの公園まで戻ってからビブリオバトルをこなし(これがもう一つの目的だった)、ついでなのでMRT淡水信義線の終点・淡水へ足を延ばしました。ここは淡水河のほとりに位置していて、大きな川が海へ流れ出す少し手前にあたります。幅の広い川を見ると、海外に来た実感がある。国内外問わず、海沿いの港町が好きです。どこへでも行けるような気になる。気が大きくなっていい気分になる。
ちょうど日没に間に合って、美しい夕陽を見ることができました。海に沈む夕陽って、ちょっと尋常じゃないくらいに美しいですね。逢魔が時とはこのことか。空も海もどんどん色合いが変わっていくので目が離せないし、ずっと見ていられる。しかもちょうど中秋の名月に近い日で、暮れた空に浮かぶ月も美しかったです。

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淡水の夕陽

この後士林夜市で噂の牡蠣オムレツを食べてその美味しさに感動したり、夜市に出店していた古本屋を嬉々として覗いたり、職場のお土産を買ったりしてから帰宿しました。
そして次の日は再びソロ活動。誠品書店で『三体』原書を探し回った末にようやく見つけたり(残念ながら買わなかった。台湾SFがあれば欲しかったのですが、翻訳ばかりで台湾の科幻小説は見つけられず…)、二二八和平公園でタイワンリスが走り回るのを眺めながら本を読んだりしてまったりと過ごしたのち、日本に戻ってきました。
全体的にとてもいいお天気で、おいしいものもたくさん食べたし、大満足です。

とはいえ実は、再び台北に行く予定がすでに確定していたりします。次はどこに行って、何を食べようかなぁ。楽しみだなぁ。