好物日記

本を読んだり美術館に行ったりする人の日記

笹本祐一『カーニバル・ナイト 妖精作戦PART3』を読みました

読みました。頭がラノベにチューニングしやすいうちに最終巻まで突っ走る予定。しばらく時間空けるとまた文体になれるのにしばらく時間がかかるので…
ちなみに創元SF文庫でも出ていますが、今回はソノラマ文庫版で読んでいます。多分中身は同じはず。

シリーズ2巻目は番外編の学園ものでしたが、再びSCFとのメカメカしいアクションに戻ってきました。しかし主人公は沖田だったか?という活躍ぶり。いいとこ持っていくなぁ。
しばらく鳴りを潜めていたSCF(平たく言うとエスパーを問答無用でリクルートする地球防衛軍)だったが、ノブの通うクラスにはお約束のごとく転校生がやってきて、怪しい探偵・平沢が学校内にまで姿を見せ始める。不穏な空気を察した榊・沖田・真田およびつばさは謎の転校生に接触を図り、そしてついにSCFが再び動き出す…!
みたいな話です。思いっきり次巻に続く!という結末だったので、今の時点ではあまりなんとも言えないところがあるのですが…

3巻では、1巻で名前だけ登場していたキャラクターがしっかり出てきます。占い師・幹本沙織。バーのカウンターでオンザロック飲んで酔っ払っている年齢不詳の綺麗なお姉さんで、やっぱりこういうシリーズにはこういうキャラクタが一人は必要ですね。絵になるもんね。最初はちょっとやりすぎじゃないかと思っていたけど、だんだん素敵になっていきました。10年前の私ならきっと平沢贔屓で読んでいたと思うのですが、今は断然沙織さん派です。タフな女は格好いいのだ。

タフな女といえばつばさがいるわけですが、沖田が転校生に書いた偽のラブレターを渡しておいてと頼まれて、さらっと「いいわよ」とか言っちゃうあたり、沖田とはあくまでも犬猿の仲のままでシリーズが終わるんだろなぁ。たしかにここの二人のことまで書いていたら話が終わらなさそうではある。

しかし繰り返しになりますが、本当に主人公は榊でいいんだったよね?と確認したくなるレベルで沖田が大活躍している。2巻は沖田が主人公だったけど、たしか3巻からは再び榊・ノブのカップルに焦点が戻っているはずである。はずであるのだが。3巻の終わり方からすると4巻では再び榊頑張るの巻になりそうではあるが。
まぁ、沖田はモテるキャラクタとして登場しているから一種のファンサービスなんでしょう。改めて振り返るに、2巻の創元SF文庫版の解説での小川一水による沖田評は的を得ていたな。沖田は行動力の塊だ。

しかしいわゆる超能力者モノと呼ばれるジャンルは、やっぱり少し懐かしい感じがしますね。霊能力は妖怪ブームでむしろ増えている気がしますが、超能力は現代ではもはやコメディに近い。昔はもっとメジャーな存在だったように思うのですが、ユリ・ゲラーの名前も久しく耳にしないし。今「超能力者モノ」をやるくらいなら、いっそ異世界に行ってパーティ組んじゃったほうが話が進めやすそうだし、読者の理解も得やすいだろう。
そう考えるとやっぱりこの「妖精作戦」シリーズを今読むのは、懐かしい雰囲気も含めて楽しむのがいいんだろうなぁ。今の現役高校生が読んだらどんなふうに感じるのだろうか。私もリアルタイム読者ではないので、知らない時代の違和感はありますが、ただ昔から古い作品を読みなれていたのでそういうもんかーと流してしまっているところがあります。いつの時代もそんなものかな。でないとリアルタイムの作品しか楽しめないことになるもんな。やはり慣れか。

このまま最終巻に突入します。